4日、日曜日の夕方、BFIのNinties特集で見ました。
すばらしい色みの35mmプリントだった。フランス語字幕付きだったけど。
Greg Arakiの作品はこれまできちんと見たことがなくて、他方で彼の作品のサントラCDはどれもコンピレーションとしてとてもよくできていたのでよく聴いた、程度。
彼のメジャーデビュー作で、"Teenage Apocalypse Trilogy"の真ん中だそう。今回の特集でかかる彼の作品はこれだけ。
最初に字幕で"A Heterosexual Movie by Gregg Araki" – と出る。 邦題はそのまま?
冒頭、NINの”Hersey”なんかがどかどか流れるなか、退屈だから他に行きましょとAmy (Rose McGowan)とJordan (James Duval)が車を走らせようとしたところでXavier - X(Jonathon Schaech)が強引に乗りこんできて、なんかお腹へった、というのでコンビニに行って、成りゆきのひと悶着のあとは結果的に血みどろになり、顔がわれるのは時間の問題だからモーテルとファストフードを転々として互いにセックスをしまくって、やがて誰にでもわかるような破局というか襲撃というかがやってきて、それでもふん、って。
犯罪のシーンとセックスのシーンが同じテンションと欲望垂れ流しの粗さてきとーさで描かれ、それ以外の行為はすべて退屈で無頼で予測不能で、何回出てくるかわかんないくらいにたっぷり吐き出されるF wordと、犬を轢いちゃったあとにAmyが呟く”The World Sucks”がほぼすべてで、これはThe Worldの話なのかThe Generationの話なのか、"Teenage Apocalypse”だし"A Heterosexual Movie”だし、あれこれもうたくさん、どうでもいいわ、っていう空気感の間に挟まっている気がする。
貰ったペーパーにあった”Natural Born Killers” (1994)の過剰な怒りと”Slacker” (1990)の露悪趣味の中間、ていう形容は結構あたりなのかも。 彼らはすべて見られている/撮られていることをわかった上で、あんなふうに振る舞いべったりくっついて突っ走っていく。高尚にもおしゃれにもなれない『気狂いピエロ』の30年後の - 本当に狂っちゃったピエロ達の姿、というか。
映画で描かれた若者の像がどこまでリアルなのか嘘っぽいのか、なんかの時代とか世代を表象/象徴しちゃったりしているのか、そういうのとは別に、空腹と退屈さを抱え、車とほぼ無一文で砂漠のようなとこに放りだされた(or 自分たちでそうした)若者たちがいたとして、彼らはどんな行動を取るのか、を追う – 決して彼らの言葉やエモを「代弁」なんてしようとはせず - というところでは悪くなかったかも。 今同じテーマを今の若者たち相手にデジタルで撮ったらどんなふうになるのか、そういう作品、もうどこかにあるのかしら。
ギャングでSkinny Puppyとか、タコス屋の店員でPerry Farrellとか、コンビニにいる家族でMargaret Choとか、いろいろ出てくる。
そして音楽はほんと痺れるようにたまんなくて、Slowdive, Love and Rockets, Curve, Coil, Porno For Pyros, The Jesus & Mary Chain, Ride, Lush, 更にはPizzicato Fiveまで、あんなの(ってどんなの?)がずっと吹きっさらしの荒野に吹きまくる。当時はそんな好きでもなかったのだが、今こうして纏めて聴いてみたとき迫ってくるこれらってなんだろ?
字幕があると無意識に字幕を見てしまう習慣 - 日本語の映画でも英語字幕をつい- が根強いことに気付かされて結構しんどかったかも(追ってみてから英語じゃないよ、って耳にスイッチ)。
Rose McGowanさん、#MeTooであんなふうになるなんてこの頃には..
8.12.2019
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