4日、日曜日の午後、BFIのCary Grant特集で見ました。邦題は『天国漫歩』。
お金持ちで能天気なGeorge (Cary Grant) とMarion (Constance Bennett)の夫婦は毎日楽しく呑んで歌って(Hoagy Carmichaelがカメオで出てきてピアノ弾いてくれる)、朝までらりらり遊んでいて、そのままミルク飲んで銀行の取締役会とかに出たりしている。
で、その調子で車を飛ばしていったら道路脇の樹に激突してふたりは死んじゃって、でも善いことをしたわけでも悪いことをしたわけでもないから天国にも地獄にも行けずにすけすけしながら地上を彷徨っていて、天国に行けるようになんかしよう、って彼らとは対照的にまじめな銀行社長のCosmo Topper (Roland Young)にもっと人生を楽しめるように、ってはっぱかけて車与えたり(→逮捕)、女性の下着をちらちらさせたりしたら、夫以上にまじめで支えてつくして(コントロールして)きた妻のClara (Billie Burke)はあなた! きーってなるのだが、大怪我はしたもののめでたしめでたし、でGeorgeとMarionも昇天できるの。
日本でも昭和のコメディにありそうな、おふざけ豪快野郎ときまじめモーレツ社員のその妻まで交えた楽しいどたばた、なのだが難をいうとしたらGeorgeとMarionのふたりがきらきらゴージャスでちっとも幽霊のかんじがしないの。死んでもぜんぜん後悔とかしてないし。 これこそ”There is a Light that Never Goes Out” だわ。ああありたいもんだな、って。
このあと、続編として”Topper Takes a Trip” (1938) と”Topper Returns” (1941) ていうのも作られたらしい。我々にとってTopperというと、まずは Topper Headonなわけだが、こちらの”Topper”はMickey the Monkeyていう漫画が掲載されていたコミック本のことなのね。
Suspicion (1941)
6日、火曜日の晩、BFIのCary Grant特集で見ました。 誰もが知っているヒチコックの『断崖』、ね(← 見たことなかったの)。
ロンドンから田舎に向かう列車にLina (Joan Fontaine)が乗っていると愛想と調子のいい青年Johnnie Aysgarth (Cary Grant)が乗ってきて、最初はなによこの人? だったのが憎めなくて、憎めなくなるとなんか愛しくなってしまい、父General McLaidlaw (Sir Cedric Hardwicke)の反対を押し切って結婚してハネムーンから戻ってくると、彼が実は無一文でろくに仕事もしてなくて博打とかも大好きであることがわかり(←それくらいわかっとけ)、諫めるときちんとしてくれるようなので許しているとやはりだんだんに度を越してきて、これは無理だからお別れしましょうと手紙を書いても踏みきれなくて、でも父の死の後の彼の挙動とか彼の友人が突然パリで死んじゃったりしたのを見ると、ひょっとしてこのひと保険かけて自分のことを殺そうとしている? って思い始めたら雪だるまが止まんなくなって…
最近もよく聞くダメ男にずるずる引き摺られて破滅に向かうカップルの原型を見るかんじなのだが、ここで誰もが感じてしまうかもしれないLinaの優柔不断で迷って悩みながらも相手の男を許してしまう態度への「だからだめなんだよ」は巧妙なワナというかヒチコックのしょうもないミソジニーの表明で、ほんとうであれば最後の断崖でLinaはJohnnieを突き落としてやるべきだったのよ。「もうたくさん、だれが信じるかボケ」(どーん)って。
そしたらオスカー(主演女優賞)は獲れなかったかもだけど。
”Holiday” (1938)もそうだったが、大金持ちの家に婚約者としてやってくる素性の知れない男としてCary Grantはパーフェクトの輝きを見せるねえ。お金は貯めるもんじゃなくて使うもの、自由がいちばんさー、って。
小さい頃にTVで見た、コップのミルクを白く見せるために裏に電球を仕込んだ映画、ってこれだったのかー、って、伝説をつかまえた気がした。(おそすぎ)
8.13.2019
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。