2日金曜日の晩、”Do the Right Thing” (1989)に続けてNineties特集で見ました。
邦題はそのまま『ガス・フード・ロジング』。原作はRichard PeckのYA小説だそう。
初めにQueen Mary University of LondonのLucy Boltonさんから短いイントロがあって、この映画がリリースされた92年は映画史観点で眺めるととても豊かな年で、他にどんなものが出たかというとね、で挙がったのが Sally Potterの”Orlando”、Cameron Croweの”Singles” 、Abel Ferraraの”Bad Lieutenant”、Robert Altmanの”The Player”、Quentin Tarantinoの”Reservoir Dogs”、Nora Ephronの “This Is My Life” – 他にも沢山あがったのだが憶えていない、けど、wikiでこの年の公開リストを見ても確かにとっても充実している気がする。”1991: The Year Punk Broke” (1992)の後に続けて出てきたなんか重みや臭みの抜けたかんじの。
で、そういう中でもAllison Andersによる本作は90’sのgemと呼ばれていて、それがなんでかはこれから見てね、って。 確かに宝石みたいな。映画の中に光る石も出てくるし。
あと、監督はWim Wendersを師と仰いでいて、”Paris, Texas” (1984)のロケ先ではUnder Studyとして張り付いていたのだという。その辺のかんじ、あるかも。
ニューメキシコのトレイラーパークに母Nora (Brooke Adams)と姉のTrudi (Ione Skye)と妹のShade (Fairuza Balk)が暮らしていて、父は蒸発していなくて、Noraは地元のダイナーでウェイトレスをしてて、Trudiは素行不良で学校やめて母と同じところでバイトを始めて、Shadeは地元の映画館でメキシコ映画の女神Elvia Riveroの主演作品を見てはうっとり泣いたりしている。
3人ばらばらに起きて帰ってきて寝て、たまにダイナーで会って、たまに喧嘩して怒鳴りあったり、がらんとした町と家の間でそういうのを繰り返しながらTrudiはイギリスから来た男 - 洞窟で光る鉱物を探している - と仲良くなり、NoraはTVのパラボラアンテナを立てる技師と仲良くなり、Shadeは映写技師をしている男とぶつかったりしながら仲良くなり、そこに行くまでにもさんざん互いの言いあい泣きあい引っ掻きあいが – 特にNoraとTrudiには – あって、どうせまたすぐ別れそうだしすぐ喧嘩しそうだし大変よね、なのだが、そんなふうにやりあいながらずっとこの母娘はやっていくんだろうなー、くらいの突き放し感がすてきで、それらを(トレイラーハウス故の?)朝の光とか夜の暗さがほんわか包んでいて、なんかいいな、になる。
ものすごい幸せとかものすごい悲しみとかがやってくるものではなくて、どちらかと言うと退屈さつまんなさとどう向きあってイライラをやり過ごしていくのか、みたいな話なのだが、そうであったにしても、この場所の、この3人なら、って(男なんていなくてもべつに)。
音楽を担当しているのはJ. Mascisで、他にOrchestrationパートはMagazine – Bad SeedsのBarry Adamsonが。 92年というとDinasaur Jr.は”Green Mind” (1991)を出した頃で、あの当時のあのバンドが湛えていた透明感- 気持ちよく澱むギターサウンド - これは次作の”Where You Been”ではまたちょっと変わってしまう - が、映画の空気感と見事な調和を見せている。もうちょっと壊してもいいんじゃない、くらいに清々しいの。 彼、カメオで出演もしているらしいのだがあれかなあ、くらいでわからなかった。
あとはカーラジオから流れてくるNick Cave and the Bad Seedsの“Lament”とか、ラストには声だけでそれとわかるVictoria Williamsとか。
8.08.2019
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