1.14.2019

[film] Eine Dubarry von heute (1927)

6日の日曜日の午後、BFIのAlexander Korda特集 & 日曜午後のサイレント定期上映で見ました。
英語題は”A Modern Dubarry”。上映前にBryony Dixonさんによるイントロつき。

制作はFelsom Film、配給はUFA Studio、当時外貨獲得にやっきだったドイツがパリ(20年代のパリ!)を舞台に英国の監督(Alexander Korda)とオーストリアの女優(で、Kordaの妻)を使って作ったインターナショナルな1本で、ここで参照されるべきはもちろん、Ernst Lubitschの”Madame DuBarry” (1919) - 邦題『パッション』 - ですね皆さん、Marlene Dietrichがチョイ役で出ていることでも有名ですがあまり上映される機会のない作品なので楽しんでいってください、とBryonyさんは学校の先生みたいに言った。とっても豊かで楽しいRom-Comでしたわ。

パリの洋服屋で働きながら安アパートに暮らすToinette (María Corda)がいて、同じアパートにいるやらしそうな会社員のおっさん (Hans Albers)にさんざん迫られて(いきなり下着をプレゼントされたり)、でもよい仲になって楽しくなってきたところで彼は仕事が終わったのかアパート引き払ってどこかに消えちゃって、橋のたもとでしくしく泣いていたら彫刻家だという老人が声かけてきて自分のアトリエに連れてって、ここに住みなさいとか言われて、彼の紹介でサロンのモデルを始めるようになったら、こんどはカフェで怪しげな男が声をかけてきて、また会おうって約束したのに彼は現れなくて、実はこいつはアストリア国の皇太子で、モデルとして社交界でのし上がっていく彼女は皇太子と再会してQueenにまで昇りつめることができるのか、っていうお話しが、くるぞくるぞみたいな大波に向かって一生懸命というより、小波中波の応酬で最後までどっちに転ぶかわかんないぞどきどきの持続と気づいてみればこんなでしたわ、のすっとぼけた語りのなかに描かれていて、素敵としか言いようがない。

Marlene Dietrichは、あれはあたしのドレスだったのにきーっ、てなる小娘さんで、声が聞こえてきそうな強い輪郭の表情は、さすがだった。

Rembrandt (1936)

上の”A Modern Dubarry”に続けて、これもBFIのAlexander Korda特集で見ました。 邦題は『描かれた人生』?
ヘンリー八世の評伝映画と同じような手法で同じ男優 - Charles Laughtonを使って、Rembrandt van Rijn(Charles Laughton)の生涯を描く。

17世紀のオランダでRembrandtは既に画家としての名声を確立していて、愛する妻サスキアを失うところから始まって、やがて『夜警』ができあがって、でもサスキアの死と共に生活はずるずる困窮していって、メイドともいろいろあって、最後にはHendrickje (Elsa Lanchester)と仲がよくなって少し日が射して、ていう人生あれこれとは別に絵に打ち込んで、絵を描いていられれば幸せだったであろうかわった老人の姿が浮かんできて、「ヘンリー八世」でもそうだったように、人物の内面や狂ったところに立ち入ってリアルな「実像」みたいなところを追求するのではなく、周囲の人や出来事の流れのなかで彼はどんなふうに立ち回って歳をとっていったのか、アムステルダムの町をどんな顔をして歩いていたのか、などを柔らかめに - そこらのふつうの老人と同じように - 描いていておもしろいの。

Hendrickjeは、「ヘンリー八世」にも出ていたLaughtonの妻Elsa Lanchesterが演じているのだが、Rembrandtが描いたHendrickjeの肖像って、結構ふっくらしているからそこだけうーん? だった。Rembrandt本人が似ているからいいかー。

そして今年は没後350年で、Rijksmuseumでは”All The Rembrandts”が始まる。 やはりこれは行かないと、かなあ。

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