11.17.2018

[film] Widows (2018)

10日、どしゃぶりの土曜日の晩、CurzonのAldgateで見ました。

現代のシカゴで、Harry Rawlins (Liam Neeson)と3人の仲間が強盗をしたら車で逃げる手前から銃撃戦になり、ようやく逃げこんだ倉庫でなぜか待ち伏せしていたSWATに車ごと吹っ飛ばされて、Harryの妻のVeronica (Viola Davis)は嘆き悲しむのだが、そんな暇もなくやくざっぽいJamal Manning (Brian Tyree Henry)からHarryがうちから盗っていった$2milを返さないとただじゃ… て脅されて、途方に暮れているとHarryが遺したノートに次の強盗計画の詳細が書かれているのを見つける。これをうまくやらかせば$5mil - 借りを返してもおつりがくる。 Veronicaはこの襲撃で亡くなったHarryの仲間の未亡人たち - Linda (Michelle Rodriguez) とAlice (Elizabeth Debicki) – どっちもそれなりに絶望して自棄になっている – に声を掛けて、やるかやらないかを決めさせて、やると言ってきたふたりと共にこまこま準備と下調べと訓練にとりかかる。 のだが、当然その行動はやくざ側(Daniel Kaluuyaがとってもこわい)にはぜんぶマークされていて運転手とか知り合いは消されていくし、その金ときたら地元の有力政治家(Robert Duvall)の2世(Colin Farrell)の選挙戦絡みのやつらしく、きれいごと汚れごと混じってきな臭いことこの上ないし、でもどうせ先はないんだからやるよ、って。

夫たちを殺された妻たちが玉突きのように同様の犯罪に走っていく、そういうシンプルな流れのやつかと思っていると、白テリアのOlivia(かわいいー)の思わぬ発見から物語はどす黒いとぐろを巻き始めて、でも後戻りはできなくて、いよいよ決行の時がやってくる。

夫への仇討ちとか復讐、というよりは夫の死によって今後の生活が(希望みたいなとこも含めて)どうにもならなくなった未亡人たちが突破口として選んだ次の手、その世界に戸惑ったりどきどきしたりしつつ、退路も断たれてハラを据えて突っこんでいく、顔面のアップが多用される緊張感が延々続き、Veronicaの過去やそれぞれの家族の事情も語られたりするので裏街道犯罪スリラーとして130分はちょっと長いかもしれないが、3人 + 運転手として加わったBelle (Cynthia Erivo)も含めて女性それぞれの真剣な顔を追っかけるドラマとして見ごたえじゅうぶんで、特にラストなんてほんとに。

なので拳を握って、やったれ! みたいな興奮も決行後の爽快感もあんまない、けどこのお話しであればこれはこれでよいの。
(邦題はぜんぜん違うし、日本語のWikiにあるあらすじもでたらめ。 なんで日本て極妻みたいな方に落としたがるのか? なんかの病気じゃねーのか?)

元はイギリスのTVシリーズだったのをシカゴに持っていった、元のドラマは見ていないのだが、シカゴ郊外の治安があまりよくない地域、人種と格差の問題が顕在化していて、政治や宗教がそこに程よく介在することを求められている、顔の知れた連中はほぼ裏や傷のある悪人 - そういう地盤に展開される女性たちのドラマとしてとっても適切かつありそうで、なぜ彼女たちは? が状況の説明と共にくっきりと浮かびあがる、そういうところも含めて極めて政治的なドラマだよね、とも思った。

俳優さんたちに知った顔がいっぱい出てきてオールスターキャストみたいに紹介されているのだが、ひと昔前だったらいそうなDe NiroもPacinoもいない(かろうじてRobert Duvall)。あたり前だけどオールスターっていうのも世代が変わっていくんだねえ。

Viola Davisさんはいつものように”ど”が付くすごさなのだが、Alice役のElizabeth Debickiさんがすばらしい。 ポーランド系移民の娘がだんだん強くなっていくの。 彼女だけでスピンオフできるな。

もし続編が作られるのだとしたらViola DavisとMichelle RodriguezがColin Farrellをぼこぼこにするやつを期待したい。
(こんどは爽快なやつで)

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