4日、日曜日の夕方、Leicester Squareのシネコンで見ました。公開直後のはずなのに、なんでこんな変なとこでぽつぽつとしかやってないんだよう。こんなにおもしろくて素敵なのにさ。
原作は(プロデュースも)Nick Hornby、プロデュースにはJudd Apatowもいて、音楽は(元Shudder To Thinkの)Nathan Larsonで、ここんとこの活動に外れなしのEthan Hawkeが主演しているRom-Comなんだから、悪いわきゃないの。必見なの。
英国のSandcliffていう海辺の田舎町の博物館で学芸員をしているAnnie (Rose Byrne)がいて、彼女には15年くらい一緒に暮らしているBFのDuncan (Chris O'Dowd)がいて、彼は90年代に一瞬有名になってツアーの途中に忽然と消えてしまった伝説のミュージシャン - Tucker Crowe (Ethan Hawke)のファンサイトを作ってそれをこつこつ幸せに運営してて、Annieはその様子があんま気に食わないしDuncanとの間に子供も欲しいけど彼は嫌みたいだし、少し距離を置き始めたところ。 ある日、家に届いたDuncan宛の包みを開いたら”Juliet, Naked”と書かれたCDが出てきて、どうやらTucker Croweの昔のデモ音源らしい。ぼーっと聴いていたらDuncanがやってきてなんだこれ? って彼は驚愕して狂喜して(泣いてんの)、サイトにもUpして得意になってて、Annieは腹立ててそこに自分のシニカルなコメントを書き込んでみたらTucker Crowe本人らしいアドレスからメールがきて、そんなことを正しく指摘してきたのは君が初めてだ、とかいう。半信半疑でメールのやりとりを始めたら互いに止まらなくなってだんだん惹かれていったあたりでDuncanが町女と浮気していることを知った彼女は彼を家から追い出す。
Tuckerの方はペンシルベニアかどこかでEx-妻のガレージに彼女との間の息子のJackson (Azhy Robertson) - かわいい - とごろごろ適当に暮らしていて、Ex-Ex妻との間の娘Lizzieが出産で相手の男の住むロンドンに行くとかいうので、ついでに行ってみるから会わない? てAnnieに連絡して会うことにするのだが、ロンドンに着いたところでTuckerは突然倒れて入院してしまう。病院からの彼の求めに応じて本を持って(Foylesの袋をさげてる)、病院に行くと、Tuckerはもうしんじゃうに違いないと思ったLizzieがEx-Ex-ExとかEx-Ex-Ex-Exの子供とか家族・コロニーまるごとをみんな呼んでいてものすごい状態で、こりゃ世界がちがう、無理だわ、とあきれたAnnieは一旦田舎に戻る。
やがて回復したTuckerはJacksonを連れてAnnieのところに現れるのだが、ほほうAnnieに新しい彼ができたか、と軽く寄っていったDuncanが見たのは、彼が20年間追い続けてきた伝説の… だったと。ここから先、3人それぞれにとってぐるぐるの惑いと悶えに巻かれてまみれての修羅場がめちゃくちゃおもしろい(他人の不幸は..)、に決まってるの。
傷を抱えたまま突然音楽をやめてしまい、そのままぶくぶくゴミにまみれている元音楽家、田舎でそんな彼の消息を追いながらぶつぶつ燻っているひねくれ男、そんなろくでなしとの関係を引き摺ったままあーあ、って溜息ばかりの女、どいつもこいつもよい具合に枯れて腐れて救いようがなくて、だからこそ惹かれあうのかなんなのか。そして子供たちだけはいつも元気いっぱいで輝いていてよかったね(というNick Hornbyの世界)。
“Before …”シリーズでも見ることができたある瞬間に突然スイッチが入ってそこからの世界をがらりと一変させてしまうEthan Hawkeの魔法をここでも見ることができてとても興奮するのだが、Chris O'Dowdのぶれのない高慢ちきぷんぷんの臭気もたまんないし、Rose Byrneの眉間の皺(たまにJulie Delpyを想起させる)もすばらしくて、要は、Rom-Comとしては”High Fidelity”より断然すてきで好きだと思いましたの。
若い頃 - 90年代のTucker Crowe – 当然90’sのEthan Hawke - の写真はとても90’sしていて、そこに被ってくる彼のバンドの音もオルタナの少し前にあったようなのに近くて、このかんじってやっぱり00年代のとは違う、なんだろ、とか思った。
そんな昔に録音されたデモの音が20年以上経ってから恋の嵐を巻き起こす、ってやっぱり素敵で、音楽は聴きつづけておくにこしたことはない、と。(CDプレイヤーは捨てないでおいたほうがいいのか)
11.10.2018
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