12日の火曜日の晩、Prince Charlesで見ました。
20th Anniversary記念の35mm上映。
こんなおもしろいのが日本では未公開のままだなんて、ぜったいありえないわ。
Martin Q. Blank (John Cusack)はプロの殺し屋で、ライバルで格上の殺し屋Grocer (Dan Aykroyd)からは組合つくろうぜ、とか誘われているのだが、なんか嫌で、セラピスト(Alan Arkin)のところに行っても落ちつかない。 アシスタントのMarcella (Joan Cusack)からは卒業後10年の同窓会が故郷のGrosse Pointe - Michiganであるので行ってこい、と言われていて、セラピストも行ったほうがいい、ていうのでしぶしぶ行くことにする。
町に着いてみると、幼馴染でプロムに誘って、でも当日に放置したままそれきりとなってしまった可哀想なDebi (Minnie Driver)はラジオのDJをしていて、母親はボケて施設に入っていて、父親は墓の下に入っていて、住んでいた家があったところはコンビニになっている。 そうして気づいてみれば素性のよくわからない追手とか、明らかに彼を殺しにきている奴とかいろいろいて、それでも同窓会に行ってみると、やっぱりいろんなことが起こってばたばたで。
Martinの将来はどうなるのか、Debiとの恋は果たして、とかぐじゃぐじゃで、なのにMartinはたまにパニック起こしてセラピストに電話したりしつつも、殺し屋脳が勝手に働いて冗談みたいにふんふん片づけていくの。
あとさきなんて知らん、その場限りで生きることを是としてやってきた80'sのメンタリティ的には同窓会なんてのは一番恥ずべきイベントで、そんなのやってられっかよ、に違いないのだが、突っ張っている裏側で病んで瀕死のMartinが歯を食いしばって出てみたらやっぱり死にそうで耐えられなくなって、そうしたら向こうから自分を殺しにやってくる連中がいて、いっそ殺してくれれば楽だと思うのにそこでやっぱり80's的な見栄根性が起動してしまい、結果的になにかに打ち勝ってしまったことになる、というすばらしい御都合主義。
このでたらめないいかげんさ、てきとーさのすばらしいこと。 そしてこれをこんなにも軽やかに演じられるのはJohn Cusackしかいない。そしてこのキャラはアナログレコードへの一途な愛、過去の愛の傷痕から逃れることができずにぐるぐる回転を続ける"High Fidelity" (2000)の彼とも表裏一体なの。
Minnie Driverも素敵でさー。 ふたりのDJブースでのやりとりなんて泣きたくなるくらいよいの - なんで別れたのだかぜんぜんわかんなくなるけど。 これ、彼女の視点から『すてきな片想い』(1984) の10年後の物語として描いてもおもしろくなったよね。
そして勿論、Joan Cusackも忘れてはいけない。ひとりのオフィスなのにいつもぎんぎんのファッションでキメてて、さいごにさらりとぜんぶ焼き払ってしまうかっこよさ。
オリジナルの音楽担当はJoe Strummer で、それに加えて80年代英国の音 - The Specials, The Clash, The Jam, The Cure, Echo & The Bunnymenなどなどが泣きたくなるようなタイミングでステップを刻んできて、それだけじゃなくて、米国90年代 - Martinにとって現在の音 - Faith No More, Pixies, The Eelsなんかが鮮やかに迎え撃つの。 そんで、最後にはThe Poguesの"Lorca's Novena"が。
終わったら大拍手。 そんなのとうぜんだわ。
9.21.2017
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