こっちから先に書く。
7日の晩、Royal Festival Hallで、John le Carréが立って歩いて、朗読したり話したりするのを見ました。
今やどこの書店に行っても新刊 "A Legacy of Spies"は山積みになってて、PiccadillyのWaterstones(大型書店)ではウィンドウに「スマイリーが帰ってきた!」の号外が散らばったり貼り出されていたり。 イベントの模様は英国だけでなくヨーロッパ中の映画館に同時中継されてて、単なるプロモーションとは思えない盛りあがり。
https://www.youtube.com/watch?v=lJWKfnMrAco
チケットはメンバー先行の発売日に買ったので悪い席ではなかったけど、軽く£100だった。そうだろうなー。
スパイとおんなじような彼だし、普段は人目を忍んでいるのだろうしなー。
当日の客席にはTom StoppardとかJarvis Cockerもいたそうだが、周りを見まわす余裕なんてぜんぜんなかったわ。
というくらいにLe Carréは好きで読んできていて、でもこないだ着いた船便の箱には入れたのかどうか。(まだ開けていない、と)
ステージ上には演台がぽつんとひとつだけ、聞き手がいて対話形式で進むと思っていたので少しびっくり。
19:45 - 時間きっかりに彼は登場して、原稿の束を置いて立ったままでマイクに向かい静かに話始める。
それが"A Legacy of Spies"からの、あるいはひとつ前の"The Pigeon Tunnel: Stories from My Life"からの抜粋なのか、そこに少し手を加えたものなのか、読んでいないのでわからないのだが、始めに自分こそがGeorge Smileyである、ということをはっきりと言って、自身のここまでの生涯 - 特にMI5〜MI6の時代とGeorge Smileyの活動を並べて比べて、Peter GuillamやJim Prideauxといった彼の仲間たち、TVや映画で俳優によって演じられたGeorge Smiley、などなどについて横にそれたりジャンプしたりしつつも、約1時間強、全く澱みないテンションと共に読みきってしまう。 演劇の一人芝居のようでもあって、ただそこに立っていたのはJohn le Carréその人だったのかGeorge Smileyだったのか、どちらかがどちらかの書いた台本を代読しているだけなのではないか、という疑念が湧いて奥の部屋でじりじり尋問したくなる、それくらいスムーズな語り口であり佇まいでありました。
休憩のあとはデザート(て言ってた)で、ツイートやFBで寄せられたみなさんからの質問に答えます、というコーナーが、これはニュースキャスターのJon Snow氏のモデレーションで、椅子に座って行われた。
相当にやばいひとであることを後になって知った父のこと、Smiley以外で最も近しく感じる登場人物は? とか、割とふわふわ和める話題が多かったのだが、現在のアメリカの(あの政権の)行方についてはかなり強い語気でもって懸念を表明していた。 経済危機に端を発するあの動きには30年代にスペインや日本やドイツで起こったこと - ファシズムの台頭 - の再現を見ているような、同種の危うさがある、って。 (...日本はふたたび、それいじょうにまったくおんなじくやばいんですよせんせい)
George Smileyという稀代のスパイを生んだ東西の冷戦、かつてのファシズムに端を発する分断された世界、その悲劇を生きたひとが、新たなファシズムの誕生を憂慮する - どれだけ後退してるんだよ世界、って。
でもとにかく、会えてよかったー。
911でした。忘れてはいけない。もう二度と..
9.11.2017
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