1日、水曜日の晩、こっちの公開初日にLeicester Squareのでっかい、爆音のとこで見ました。 IMAX上映もあったがこれはちょっと違う気がした。ぺたんこの横にでっかい画面が◎。
X-Menの最初のを前の晩にFilm4のチャンネルでやってて、改めて自分がこのシリーズを(Avengersよかずっと)愛していることを噛みしめつつ見る。
James Mangoldによる前作の"The Wolverine” (2013)は、やくざ映画の枠を借りて「外様」「外道」としての彼の外皮 - "The Wolverine"を際立たせるものだったが、今作はミュータントとしての"Wolverine"ではなくて、本名の"Logan"で、"3:10 to Yuma” (2007)に"Walk the Line" (2005)のMangoldがばりばりどまんなか、激渋の西部劇に仕立てている。
Johnny Cashの"Hurt"が流れる予告だけでこれはぜったいくる、と思っていたが、やはりきた。
もちろんすごく痛いしきついし辛いし、ざくざく血まみれのR指定だし、でもそれでもすごい、すばらしいとしか言いようがない。
冒頭からLogan (Hugh Jackman)はよれよれがたがたで、タイヤ泥棒達に襲われてももうかつてのようなキレはなくて、何人かやっつけて追い払うのがやっと、メキシコの国境付近でリモの運転手をしながらおなじく老いてほぼ寝たきりで隠遁するチャールズの薬の世話をしている。 つききりで世話をするのは明るい場所に出ることができないミュータントのCalibanで、かつての仲間たちはもうどこにもいない。
で、懸命なメキシコ人の女からLaura (Dafne Keen)ていう少女をある場所に運んでほしい、と札束を渡され、その女は殺されてしまったので仕方なくLauraをCharles (Patrick Stewart)のところに連れていく。
Lauraも同様に組織から狙われていて、やがてねぐらを襲撃されたCharlesとLauraとLoganの3人は逃亡と放浪の旅にでる。老人と少女は打ち解けるが、LoganとLauraは喧嘩ばかりしている。 英語をほとんどしゃべれないLauraは目的地としてノースダコタの国境付近の住所を指さして、彼女がずっと握りしめて信じこんでいるお伽話は大昔のX-Menのコミックだったりする。
筋はシンプルにこれだけで、3人はえんえん追われ襲われては逃げるを繰り返し、途中で匿ってくれる家族がいたり、どんどんやつれて萎れていく車椅子の老人と足を引き摺って浮浪者みたいなLoganと異様な目つきの少女の子連れ狼で、とにかく、これがミュータントのお話だなんて誰が信じられようか。 傷者・除け者たちが悪い追っ手たちから懸命に逃れつつ、最後に砦で迎え撃つ - これって西部劇だよね。 そして優れた西部劇がそうであるように、正義とはなにか、ヒーローとはどういうものか(どういうふうに去るのか、終わるのか)、をしみじみ考えさせるものになっていて、そこに"Logan"という名前が("Shane"とおなじように)被さるのだから、ああなんという、なの。 2000年に始まった"X-Men"がこんなふうに終わりを迎える(別のかたちでシリーズは続くのだろうが)なんて、誰が想像しただろうか。
3人のトライアングルがすばらしい。 今後もうこのシリーズには関わらないと明言しているHugh JackmanもPatrick Stewartも、ここまで凄まじいものを見せてくれたのだから、ありがとう以外に言うことはない。 そして、どこから見つけてきたのかLaura役の娘の狂犬ぶりとあの目つきと。
音楽は"Hurt"がそのまま流れることはないのだが、あの音やコードの断片が基調音として全編にずーっと流れて鼓膜を圧してくる。
最後のほうでのLoganとLauraの会話 - "I hurt people" - "People hurt me"という切り返しの辛さと切なさ。
Logan - Wolverineのシリーズのテーマのひとつに彼がこれまでに受けた痛み - どれだけ痛めつけられても元に戻ってしまう痛み - は他者に共有できるのか、わかるわけないだろうが(怒)というのがあった。 今作ではそこにほんのりした光があたって、それは痛みを超えてミュータントであることの哀しみをも包みこむ。
そしてエンドクレジットで流れるのはあのひとのあんな曲だったりするところがまた。
唯一文句が出そうなところがあるとしたら、これ、ミュータントの話じゃなくても、老いぼれて壊れかけたかつての凄腕ガンマンふたり+拾われ少女の物語としても十分に通用してしまうことか。 それもまた見たいなー。
それにしてもあのラストはなんというか。 あの娘ときたら…
3.03.2017
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