12日の夕方、Kongのあとに少しだけ歩いた先にあるBFIのSouthbankでみました。
Southbankぜんたいは先週からWomen of the World Festivalの真っ只中で、いろんなトークとかマーケットが出てたり、日曜が最終日のせいか、人手がすごくてごった返していた。
最終日、ABBAのビョルンがゲストで登場したんだって。 来年はちゃんとチケット買って参加したい。
BFIでは追っかけ中のKelly Reichardt特集の他にJacques Beckerの特集もやっていて、そういうふうに小特集を乱発するのやめてほしいのだが、とりあえずそこでやってるこれだけ見る。 Kongとの食べ合わせはものすごく変なかんじなのだが、ここしかやっていないのでしょうがないの。
タイトルはそのまま翻訳にかけると「黄金のヘルメット」で邦題だと「肉体の冠」で、英語題は”Golden Marie”で、それはMarie (Simone Signoret) の輝ける髪のこと、と配布されていたプログラムノート - Lindsay Andersonが52年にSight and Sound誌に書いた論評 - にはある。
やくざでヒモのRolandの情婦のMarieはRaymondから親友の大工のManda (Serge Reggiani)を紹介されて互いに電撃が走って、ヒモのRolandはそれが気にいらなくて小競り合いになって、MandaはRolandを刺し殺しちゃって、MarieとMandaはふたりでしばらく逃げるのだが、Marieを気に入って奥から狙っているやくざの大ボスLéca がふたりを陥れようとして、更に悪いほうに転がっていくの。
話の骨格は宿命の女の奪いあいとやくざ社会の非情さと、MarieとMandaの純愛が絡みあってなす術もなく転がりおちていくので、ノワールと呼んでもおかしくないのだが、逃げた二人が田舎の隠れ家で愛しあうところが驚異的に美しくて力強く輝いているので、それはそれはとーってもかわいそうなんだけど、そんなに真っ暗にしなくても間にあってしまうかんじもある。
印象派画家の偉大なるルノワールの世界を映画で表現したのって映画作家ルノワールの「ピクニック」(1936)とか「草の上の昼食」(1959)あたりかと思っていたのだが、風景は別として女性のモデルでいうとこの作品のSimone Signoretがだんとつでとんでもないの(それか「黄金の馬車」のAnna Magnani で、どっちにしても最強の黄金なの)。 ほんとにルノワールの絵そのままの体の線で表情で目の流れで髪の毛で光に包まれているんだよ。 で、彼女が黄金の冠をほぐしたときに現れる世界まるごとはらはらとほぐれてしまうような衝撃って、なんなんだよあれ、って。 こういうのを見てしまうとまだまだ見れていないものがこんなにもねえ、 と反省してしまうのだった。
フランスの闇社会で本当にあったお話がベースだそうで、だとしらた最後のほうの即物的、というか血も涙もないかんじの転がり方がどうしようもなくすごいのと、であるが故にふたりの - とくにSimone Signoretの湛えるイメージの豊かさとのギャップに圧倒させられて悶絶するしかない。
Simone Signoretってすごいんだねえ。”Army of Shadows” (1969) -「影の軍隊」しか知らなかったので相当にびっくりした。あの映画の凄味はこの頃からだったんだねえ。
3.17.2017
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。