2.20.2016

[film] Trespassing Bergman (2013)

10日の晩、ノーザンライツフェスで見ました。『グッバイ!ベルイマン』。
(別にだれもグッパイ言ってないとおもうけど…)
今年のノーザンライツは『むかし、むかし』とこれだけになってしまったが、もし時間があったら『ソング・フォー・イェテボリ』ていうのも見たかったかも。 去年、少しだけイェテボリふらふらしたので。

ベルイマンが60年代から亡くなるまで暮らしたバルト海に浮かぶフォロー島(the island of Fårö )の家を何人かの映画作家が訪れる映像と、島には上陸しないもののインタビューで「わたしとベルイマン」(or わたしのベルイマン)を語る映画作家たちと、それと並行して50年代からのベルイマンの代表的なフィルムを追っていく。

島を訪れる映画作家たち - Alejandro González Iñárritu, Claire Denis, Michael Haneke, John Landis, Ang Leeなど - は、彼の家の本棚ビデオ棚、窓からの風景、島と海、実際に彼の映画のロケ現場、などなどに見て触れて感じてみんなだいじょうぶ? ていうくらい異様に興奮している。ベルイマンの創作の秘密や源泉(と自分たちが思うもの)を拾いあげてありがたやありがたや、で。

島に行っていない組 - Woody Allen, Wes Anderson, Francis Ford Coppola, Martin Scorsese, Robert De Niro, Ridley Scott, Lars von Trier - などは自由に好き勝手にべらべらベルイマンてさあー、とか語っている。

島組はカメラ抱えて子供のようにはしゃぎまくり愛と情熱たっぷりにまだそこらを彷徨っている彼の霊に触れたかのようなトランス状態になって、感極まりすぎてClaire Denisさんのようにあーもう気持ち悪くなってきた帰る、みたいなひともいる。(本棚とビデオ棚、みたいなー)

行ってないインタビュー組は良くも悪くもてんでばらばら、各自のキャラがストレートに丸出しで、これはこれでおもしろい。 きちんきちんと冷静に語るAllenやCoppola、結局自分語りになってしまうScorsese、マスターベーションとか睾丸とか下ネタ炸裂で、でも最後に愛を告るLars von Trierとか。(Takeshi Kinanoも出てくるけど、なにあれ)

雑誌とかの映画特集で「映画好き」が必ず挙げる欧米の「大御所」作家たちをここまでめろめろにしてしまうベルイマンの影響力 - 特にアメリカの70年代作家へのそれ - についてはきちんと考えてみたい気もするが、なんか若い頃の彼らにぴったりはまる映画的思考の枠組、みたいのを与えてあげたんだろうな、とか。

作品紹介だと『ファニーとアレクサンデル』が初めて見たベルイマンでもあるので、個人的にはいちばんじーんときた。
子供の頃に見て「シームレスに入ってくる」のでとてもびっくりしたと語るLaura Dernさんと、ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』からの影響(そうそうそう! それにしてもなんで字幕で書名を入れないの?)を語るCoppolaさんとか、解説もすばらしくよくて。

ベルイマンの島に興味をもったきっかけは2013年のThe New Yorker Festivalのいちイベント - Noah Baumbach & Greta Gerwigのトークで、ふたりが"Frances Ha"のプロモーションでスウェーデンを訪れたときにこの島に行って彼の家に入って、ハネムーンのように揃って熱く島の魅力を語っていたことだった。 そうかそんなにすてきなのかー、と。

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