2.01.2016

[film] 編笠権八 (1956)

もう2月だなんてありえない。

23日の土曜日のごご、NFCの三隅研次特集でみました。
このひとのならなんでも見たい、になりつつあるかんじ。

どこぞのなにものかわからない志賀原権八郎(市川雷蔵)が山道をすたすた歩いていると背後から謎の長髪剣士が切りつけてきて睨み合いになり、その様子を見ていた藩の指南役がなかなかの腕のようなので稽古に寄らぬか、て誘って、あんまり気が乗らなかったのだが行ってみると、偉い人たちもみんな見ている公開稽古みたいなやつで、文句をいうのだがとりあえず藩の剣士をばたばた倒しちゃうの。 で、その帰り道、やられっぱなしで気にくわなかった藩の若い連中にいちゃもんつけられて、相手をしてたら間違って藩の指南役を軌ってしまって、てえへんだてえへんだー、になって藩から追われて、指南役の娘姉妹 - 千草(三田登喜子)と露路(近藤美恵子)はお上から仇討ちやってよしを取り付け、みんなして権八を追いはじめる。

片方は逃げて片方は追っかける途中、露路のほうが足を痛めてひとり群れから離脱し、ひょこひょこしていたら酔っ払いに絡まれて、そこを権八がやっつけて助けてあげたのをきっかけに、お礼にお食事でも、とか、剣を教えてしんぜよう、とか互いの素性を知らぬままに(ほんとかなー)ふたりは惹かれていって、でもそのうちに追っかけ組が追いつくと彼と彼女はお互いの正体を知って、がーん、なのだが、権八はおれを斬れるのはお前だけじゃ、斬れ、て露路にいうの。

非情な仇討ちものにこてこての少女漫画設定 - かわいいけどひとりでは生きていけないドジな妹 -をぶつけてみて、仇を討つのか愛をもらうのか、好きになった相手を斬ることができるのか、みたいなところに追いこんで、でも結局かっこいいのは市川雷蔵ひとり、ていうフェミニズム批評的にはどうしたもんか、みたいな世界なのだが、原作は長谷川一夫主演の歌舞伎のために書かれたそうなので、それじゃしょうがないか(なにが?)、なかんじもした。

65分、コンパクトにまとまっていてよいのだけど、権八ってそもそもなにやってるひとなの? とか、かげろうの剣ってなに? とか、「編笠」ていみあるの? とか、最初に斬りつけてきたあいつって誰? とか、よくわかんないところはいっぱいあって。 でも、ま、いいか。

オルタナエンディングの愉しみ;
① 最後に露路が、足を痛めてわざと近寄っていったのじゃ、思い知れこのくそ野郎~ ばさー(斬)、てやっちゃう。
② 権八を斬ろうとする姉に妹が立ち向かってそれを庇おうとした権八が姉を軌ってしまって、父と姉を殺したやろうを露路は愛せるのか、ていう別の試練が。
③ 夫婦となった権八と露路の枕元に夜な夜な父の亡霊が。

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