2.13.2016

[film] Om de wereld in 50 concerten (2014)

31日、日曜日の昼、渋谷で見ました。
この日のメインはこれの後のオリヴェイラ特集だったのだが、見てもよいかなー、程度の。
『ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る』 - “Around the World in 50 Concerts”

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の創立125周年記念ワールドツアーに同行したドキュメンタリー。 クラシック好きじゃなくてもおもしろいよ。たぶん。
大所帯でそれぞれに大荷物を抱えて飛行機でぶーんて移動して一斉にホテルにチェックインして、ぶわーんて一斉に音だして演奏して、少しだけ人に会ったり観光したりして、また移動して、を繰り返す。 楽団のツアーってそういうもんなのだろうけど、こうやって追ってみるとおもしろいなー、って。大人数で弦を引っ掻いたり菅を吹いたり金属とか木片を叩いたり、そうやって2〜3時間の音楽を体を使って奏でて、あとには物理的になにも残さないで次に向かう。

映画はそんな大移動に伴うじたばたとか悲喜劇とかを拾いあげる、というより、彼ら音楽家たちの、オーケストラが地球をぐるぐるまわっていく移動行為そのもののおもしろさ、にフォーカスしているように思えた。

あんな何百もの楽器だの声だのが、ひとつの場所、決められた時間に、特定の指揮やインストラクションに基づくとはいえ、ぴったり整合する規則性をもったアンサンブルを奏でて、場合によってはひとに感動を与えてしまったりするかもしれない - という器楽演奏の奇跡が、この大移動を通して、似たようなかたちとパスでもって反復されているような気がしてならなくて、更にそこにおおもとの音楽が創られた時代からの時間、伝承と継承の旅をかけ合わせてみると、天文学的ななにかのようにも思えてくる。

クラシック音楽って、あんまきちんと聴く機会がないのだが、ライブで接すると古典だろうがモダンだろうがなに聴いても実験音楽のように聞こえてきてすごいなーってびっくりしまくるのは自分だけかしら。  みんな冗談のように巧いし、音の線も粒もちゃんと聴こえてくるし。
ロイヤル・コンセルトヘボウを初めて聴いたのはまだなんの嗜好も定まっていないまっしろだった頃にエアチェック(ていうのがあったんだよ)して聴いたコリン・デイヴィス指揮の「春の祭典」だったと思う。 あの頃はなんでもよく聴くとってもよいこだったのに、なんでこんなことに ...


(この映画と直接の関係はないけど)ほんとに切実に思うのは、クラシックにしてもオペラにしてもバレエにしても、この国だと料金高過ぎてほんもんのライブに触れる機会がなさすぎるってことだ。 中間業者だか団体だか友の会だかしらんが数十年前と同じ感覚のまま自分達が儲ける仕組みを組み上げてて、誰も文句言えない構造のまま限られた層のじじばばにしかチケットが渡らないようになっている気がしてならない。 シネコンでデジタル配信されるぺなぺなのライブ映像見て聴ければそれでじゅうぶんなんてぜったい、思わない。

教育もそうだけど文化もほんとに貧しい国 - お金さえあればなんでも - の国 になっていくんだろうなー。 汗だの筋肉だのばかりがもてはやされて、この国ほんとにやだ。

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