4日の金曜日の晩、六本木でみました。
Life誌のネガ管理部門に勤務するWalter (Ben Stiller)が会社の売却とそれに伴うリストラの知らせを受けた日、伝説の写真家Sean O'Connell (Sean Penn)が送ってきたフィルムのなかで1ピース(25番目の)が欠けていることに気づく。 最終号の表紙を飾ることになるのはその失われた写真にちがいない、と25番目のネガを求めてWalterの旅がはじまる。 Walterはまじめで、でも妄我妄想癖があって、母(Shirley MacLaine) と妹の面倒をみながら日々を慎ましく過ごしてきて、マッチングサイトで同じ職場のCheryl (Kristen Wiig) にアプローチしようとしてもうまくいかない。
最初のほうで彼の妄想がでたらめに暴走するシーンが続くので、Sean O'Connellからの手掛かりをもとに彼が走りだし、いきなり人口8人のグリーンランドに飛んでも、そこからヘリと鮫と漁船を経由してアイスランドに辿りついても、それが現実とは思えなかったりするのだが、そんな懸念をけっとばすように彼がぐいぐい走りだして先に行ってしまうので、どうでもよくなる。
彼はSeanに直接会ってなんとしてもネガを手に入れなければならなくて、それをCheryl(妄想)やマッチングサイトのオペレーターTodd (Patton Oswalt)がバックアップしてくれる、こわいものなんかない。
さえない男の世界への旅立ち、目覚め、を描いているようでいて、そんなの夢でした、というのではなく、そんなの、彼は会社の暗室でネガと向き合いながらとっくにやっていたのだ、すべては起こるべくしておこったんだよ、ていうのを汗とか涙とか力瘤とかなしにさらりと語っているのがすばらしいの。
で、それを実現したのが小柄で華奢なBen Stillerの身体である、ということ。 向こうからすたすた歩いてくる"Greenberg" (2010)のGreenbergの姿かたちがBen Stillerでしかありえなかったのと同じように、彼方の、世界の果てにすっとんでいくWalter MittyもまたBen Stiller以外の誰かではありえない(特に後ろ姿ね)、"Secret Life"ていうのはそういうもので、その謎謎はだれかのお財布とかにちゃっかり隠れていたりいなかったり。
Ben Stiller以外の俳優さんも全て、グリーンランドの酔っ払いおやじとかアイスランドの子供たちとか職場のHernandoとか、誰も彼もがほんとうにそこに生きているかのようにそこにいて、つながっているとか、みんながんばっている、とか臭いとこ一切なしで、ただそこにいる。 それぞれのSecret Life、ていう。
ぜんぜん感動的な登場のしかたをしないSean Pennもよいし、Patton Oswaltは笑顔全開だし、"Space Oddity"を頼りなく歌うKristen Wiigは、なんだか泣けてくるの。
そして、Ghost Cat (雪豹)の映像。 たまんない。
Bowieの歌をへんてこふうに歌って、でもなんでか意味なくせつなく感動的に盛りあがる、というと"The Life Aquatic with Steve Zissou" (2004)が思いだされて、この2本は、なんか似ているのね。
(冒険モノであること、海 vs 山、人名と"Life"がタイトルにある、魚 vs 猫、など)
サントラもすばらしくて、 José Gonzálezもいいの。ちょっとArcade Fireぽすぎるけど。
この作品がNYFF2013のセンター・ピースで、クロージング・ピースが"Her"だったの。
この2本を比較して見えてくるものもあるはず。
最後にでてくるピアノ屋、Beethoven Pianosって、58thにあるんだけど。あれはBronxの倉庫?
ぜんぜん関係ないけど、ミスドのあれ、たべてみた。 怒れ! Dominique A。
4.09.2014
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