12日の土曜日、横浜の馬車道、アンスティチュ・フランセ横浜のシネクラブで見ました。
原題は“Le roi de l'évasion”。Alain Guiraudie監督のは前から見たかったので。
フランスの田舎町でトラクターのセールスマンをやっているアルマン(Ludovic Berthillot)はでぶでゲイでぜんぜんぱっとしない日々を送っているのだが、ある日レイプされそうになっていた少女カルリ(Hafsia Herzi)を助けてあげたら、彼女に好かれて迫られるようになって、彼女と関係を持つようになる、のだが彼女は未成年だし、彼女の親は仕事で揉めたこともある彼を目の敵にしてるし、ゲイの友達サークルもあるし、仕事はどうせぼろかすだし、なにもかもめんどくさいので彼女と逃げることにする。 だからといって、明日に向かってとか自由がどうとか、そんな刹那的なかっこいいものではなくて、その場しのぎとりあえず、というかんじでさっさか逃げる。
やがて警察とかヘリとか猟銃とかいろんなのもやってきてやばいのだが、でも逃げる。追ってくるから。
そのうちカルリも面倒くさいと振っきって逃げるようになり、じゃあどこ行くのよあんた、なの。
全速力で必死で、というふうでもなく、アルマンが画面を横切っていく、それをカルリが追っかける、ていうのがなんとも言えずおかしい。 なにやってんだか、と。
いろんな境界があって、ゲイとヘテロ、野外と屋内、中年と少女、少女と巨根、でぶとやせ、それらを取っ払えと声高に叫ぶわけでも段差を問題視するわけでもなく、アルマンのぶつぶつたぎるいろんな嫌悪とやってらんねえやもう、のようなかんじで始まる彼の、でぶ一匹の逃走が、野外の緩んだ陽光が、それらをずるずる無効化していくのが痛快なの。 でも、やったあ!って手を叩くほどのものでもなくて、彼の頭のなかなんて誰にわかるものではないし誰にもわかってくれなんて言わないから、警察にとってはたんなる無軌道で危険な半裸の中年でぶでしかなくて、そいつが野外をすたこら突っ切っていって、誰にも止めることはできないし捕まえることもできない。 ていう痛快さ。
で、ラストに彼が見いだした場所とは、ていうのがまたなんとも、なの。
単なる偶然かもしれないが、この映画、NYのAnthology Film Archives(どっちもレンガね)で4/11から一週間公開されていたの。 Alain Guiraudieの作品がUSできちんと配給されるのはこれが最初だって。
http://anthologyfilmarchives.org/film_screenings/calendar?view=list&month=04&year=2014#showing-42430
4.20.2014
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。