29日の土曜日の昼間、渋谷で見ました。
オリジナルのタイトルで十分かっこいいのに。 「ブルースカイ」なんて殆ど出てこないのに。
くすんだベルギーの郊外(たぶん)のおはなし。
ブルーグラスのバンドでバンジョーを弾いて歌っているデディエ(Johan Heldenbergh)がタトゥー屋のエリーゼ(Veerle Baetens)と恋におちて、やがてメイベルていう女の子が生まれて、メイベルは難病であることがわかって、その闘病の経過とふたりの出会いとか結婚とかバンドとか、がじぐざぐの時間軸のなかで描かれる。
ふたりは愛しあってて、アメリカ音楽への愛を語って、おなじようにメイベルへの愛も語って、でも病には勝てなくてかわいいメイベルは亡くなってしまい、ふたりは嘆き悲しんで、それでも愛は踏みとどまることができるのかどうか、とか。 子供の難病もの(苦手)とは思っていなかったので、ううう、だったのだが、メイベルがいなくなって二人の間がだんだん擦り切れて壊れていくかんじはわるくない。
ガラスにぶつかって死んでしまう鳥とか、エリーゼのタトゥー - つきあうと名前を彫って、別れるとその男の名前を塗りつぶすとか、端々のところが妙にリアルでせつないの。
都度バンドで演奏されるブルーグラスもすてきなのだが、決して高揚させるような傷を癒すような形では鳴らず、でもエリーゼのタトゥーと同じ陰影、同じ肌理でデディエの肌に彫られて貼りついているようなかんじ。 音楽は何も救わないし、むしろアメリカはG.W.ブッシュ(当時)へのあからさまな敵意と共に、彼方の異郷にある。 異郷の音楽がいくら神よ~♪ とか歌ってもしらじらしいだけなのだが、であればあるほどバンジョーをつま弾く音、弦をひっかく音が止むことはなく、次の音を、次の曲を求めてやまない。
ラスト、エリーゼの肌に浮かびあがった新しい名前が、それが並んでいることにああー、てなるの。
男のほうは例によってバカで救われなくて、女のほう(Veerle Baetens)はかっこいいねえ。
バンドが演奏する音楽はどこのなにを聴いてもよくて、めろめろになるのだがTownes Van Zandtの"If I Needed You"あたりがすばらし。
4.04.2014
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