3.29.2014

[film] Paradies: Hoffnung (2013)

22日、土曜日の昼に渋谷で見ました。
受付で、「パラダイスの希望をください」ていう。

「愛」でケニアに行ってしまった母テレサの娘のメラニーが、預けられていた「神」の伯母アンナ・マリアの家からダイエットキャンプに出かけるところから始まる。

メラニーは13歳、じゅうぶんぶくぶくで、ソファに転がって携帯ばっかり見ている、そんな娘で、そういう子供たちがキャンプにはいっぱいやってきて、相部屋寮生活、食餌と運動と規則正しい禁欲生活を強いられる。 でもそんなの耐えないふうに生きてきたガキばっかしだからゆるゆる締まらなくて、だから厳しいおじさん教師がついて監視してて、破る→お仕置き、が繰り返される日々。ときめきゼロの学園ドラマ、なかんじ。

で、健康診断でやってきた常駐の医師ジョゼフにメラニーはぽーっとなって、初老のジョゼフは娘に接するように遊んであげたりしていたら、メラニーは本気になって保健室の入り口とか彼の車のとこで待ち伏せしたりするようになる。 けどやっぱりジョゼフからはやめるように言われるし、ケニアにいるママに電話してもぜんぜん電話に出てくれないし。

母テレサの「愛」に向けた、伯母アンナ・マリアの「神」に向けた過剰な愛と傾倒 - 叶えられないが故に燃えあがるばかりで止まらない - はメラニーにおいても同様に反復されるのだが、母と伯母のケースが、まあ自分にはないよね、なのに対してメラニーの空振りっぷりはわかんないこともなくて、彼女のやっちまった ... にも次がきっとあるよ、てやさしく見てあげることができるの。 そういうとこも含めての「希望」なのだろう。 がんばれメラニー。

しかし子供たちがお仕置き受けて床にうつぶせで転がされているとことか、トドみたいでかわいい。
メラニーのつんけんした無愛想な態度ぜんぱんは「17歳」のイザベルを思い起こさせたりもするのだが、メラニーが17歳になったら果たしてイザベルみたいになるのかどうか、暖かく見守ってあげたい。

こうしてパラダイス3部作を全部見たわけだが、当然のようにパラダイスぽいヴィジョンを見せてくれるわけではなくて、どれも社会のはじっこでじたばたする人々の生の臭いが強烈に漂ってくるようなやつで、パラダイスていうのはそういう場所にあるんだからほっとけ、みたいな温かいような冷たいようなかんじが気持ちよいのだった。 ファスビンダーの数倍倫理たっぷり。

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