3.10.2014

[film] Dallas Buyers Club (2013)

SFに飛ぶ前の土曜日、2/22に新宿で見ました。 窓口に行って初日だということを知った。
RedBull貰ったけどいったいなにをしろと?

85年のダラスで、電気修理工でロデオ賭博なんかをやっている自堕落なRon (Matthew McConaughey)が怪我して病院に運ばれてみたらHIVウィルス陽性、余命30日おだいじにー、と言われる。 ふざけんじゃねえよ、と、最初は自棄になるもののやっぱり命は惜しいので独自にいろいろ調査して、FDA未認可のも含め薬を調達して自分の身体で試すようになり、その探求はメキシコとか日本とか国境を超えるようになり、やがて同じように苦しんでいるHIV患者のためにDallas Buyers Clubていう薬の調達サークルを立ちあげて奔走する、という実話ベースの。

難病克服(治りはしないのだが)、薬の認可や調達の壁の乗り越え、同じような患者への救済、といった表層の美談から遠く離れたところで、セックスドラッグアンドロックンロール、を生の真ん中に据えた南部ロデオ男の意地とか負け惜しみとか悪態とかが全編に炸裂する。 死に至る難病のやっかいさを描くのではなく、振り回され振り落とされる寸前でぼろ雑巾になっても踏み留まろうとする生を描く。
で、Matthew McConaugheyは、例によって、そんなの当然じゃん、こんなの俺しかできないじゃん、というあきれるくらい軽いノリで痛快にぶちかましてくれる。
(俳優魂、というよりはなんかこいつおかしい...  的な危なさが全開)

80年代のHIV(の一部)が愛を発端として感染していった病であることを考えると、なかなか切ないものもあったりするのだが、そういうウェットなトーンはゼロ、彼を見守る女医(Jennifer Garner)にしても、彼の傍にいるおかまのRayon (Jared Leto)にしても、いたけりゃいれば、程度のものでしかない(ふうに見せている)、それくらい彼の生、生きたい、という貪欲さが突出してある。いる。

でも、それゆえに蜻蛉のようなおかまのRayonが輝いていて、ぎすぎすと蜘蛛女のキスのかっこ(William Hurt)して、マーク・ボランを抱きしめるように聴いているとこなんて泣きたくなるくらい美しい。Ronのはったりに満ちた生は、たぶんあったのかもしれないし、なかったのかもしれない(割とどうでもいい。がんばってくれ)けど、Rayonは間違いなくあの恰好でそこにいた、というのが刺さってくる、そういう描き方をしている。

カウボーイにロデオにピエロ、アメリカ西部のシンボルを嘲笑うかのように襲いかかる病の渦、それを非合法の薬の山で迎え撃とうとするはみ出し者達の群れ - そいつらの名はDallas Buyers Club。 そんな具合に(あえて)薄め軽めに描いているのはよかったかも。

しかしこれがオスカーの主演と助演の男優賞の両方獲るとは思わなかったねえ。
アカデミー会員、どれだけこういうドラマ好きなんだ、て。

メキシコの闇医者役でGriffin Dunneが出ていた。ひさびさー。


関係ないけど、Merge 25thの1月分2月分のシングルが届いた。うれしい。
でも45回転にする機械がまだ届いていないのだった...

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