SFから帰った翌日、3/1の土曜日に渋谷でみました。
普段はあまり見ないタイプの映画なのだが、井口奈己監督のは「犬猫」からずっと好きだし、川上 弘美の原作も文庫で出てすぐ読んだし(もう忘れてしまったが)。
はじめにニシノユキヒコと麻生久美子と小さいみなみがカフェでお茶してお別れしようとしていて、その次のシーンでニシノユキヒコは車に轢かれてしんじゃって、その幽霊(たぶん)が大きくなったみなみ(中村ゆりか)の家に現れて、その幽霊とみなみは一緒にニシノユキヒコのお葬式に向かい、黒服の女性達とか調子のはずれた楽隊の音楽とかで気分が悪くなったところで 阿川佐和子に助けられ、そこから彼女の語るニシノユキヒコの「恋と冒険」が展開される。
おしゃべりおばさん阿川佐和子の語るニシノユキヒコの恋愛遍歴はえらく華々しく生々しくて、それがおばさんの語りであるにせよ、おばさんの声を借りて幽霊が語るにせよ、それだけでなんかこわい。 真夏の昼間からそんなこと。
おばさん曰く、ニシノユキヒコは女性の考えていること求めているものがすべてわかって、それをすぐに実現してくれてうっとりさせてくれて、別れたいときも後腐れなくすっと身を引いてくれて、夢のようにすばらしいオトコだったのだ、と。 そういうふうに、尾野真千子とか本田翼とか成海璃子とか阿川佐和子とかとのあれこれが描かれて、それがどれもすごくすてきだ。 会社の上司である尾野真千子との道端とかオフィスでのいちゃいちゃとか、本田翼との温泉旅行とか、ニシノの住むアパートの隣人である成海璃子と木村文乃と猫(なう)とか 阿川佐和子と料理教室と映画館で、とか。 仕事でも放課後でも週末でもおうちでも、どの時間割、どの時間帯でもそれぞれにきれいな女性達がやってきたりくっついてきたり。 ダブルブックにトリプルブック、二股だろうが三股だろうが。
ほんと夢のようだわ、次郎長三国志でデートできるなんて。 とか、オフィスであんなことしたいなー、とか。
いいなー、と見るか、大変そうだなー、と見るか、人それぞれいろいろだと思うが少なくとも映画は、それぞれの場面場面、特に出会って火がつく瞬間とか間の空気がざわっと変わる瞬間、なにかがこぼれて溢れだす瞬間、などを見事に確実に押さえていて、それだけでじゅうぶんなの。 恋愛映画って、これだけあればいいの。 これだけを見ていたいの。 運命とか別れとか修羅場とか、友情か恋愛かとか、いらないんだってば。
そんなのファンタジーでしかない、とか言われれば、それはまさしくど真んなかで最初っからそうなのだ、ニシノユキヒコはとっくに死んでいるのだし、それを語るのは喪服を着たおばさんなのだから、という残酷な事実を突きつけられて、でもその残酷さって、つまんない日々の過酷さ残酷さとどれほどのちがいがあるのかどうせ死ぬときはひとりだ、とか開き直る。
我々はそんなふうなことを思って、映画のなかの(たぶん)まだ恋愛を知らないみなみはふうんーと聞いて、我々は彼女に最後の希望を託す。 よくわかんないけど。
ラスト、みなみの家を駆けぬける突風がすべてを浚ってきれいにして、「そして僕は恋をする」モードになるの。 よくわかんないけど。
男優はよくわからんが、女優さん達は、どれもすばらしい。 演技が、というよりもカメラがそのいちばんきれいな瞬間をつかまえる、その瞬間にちゃんとそこにいる、という。
海外版を作るとしたら、ニシノユキヒコはやっぱしJames Francoだろうか。 男友も含めていっぱい出てくるの。 Seth Rogenとか。
ところでこの気圧はなに?
3.13.2014
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