3日の昼間から、シネマヴェーラで2本見ました。 ほんとうにお片づけはやらないつもりなんだな。
2本のタイトルを並べるととっても威勢よくて新年にはよいかんじ。
"Come and Get It" に "Living in a Big Way" だよ。 お片づけなんて、ちいせえよ。
Come and Get It (1936) 『大自然の凱歌』
ウィスコンシンの森林でパルプ会社のために伐採をやっているバーニー(Edward Arnold)は野心たっぷりばりばりの親分肌で、酒場の歌手のロッタ(Frances Farmer)と仲良くなるのだが、一緒になる手前で彼女を捨て、逃げるように本社の社長令嬢と結婚してしまう。
それから歳月が経ち社長に成り上がったバーニー50歳、あのあとロッタと結婚した旧友のスワン(Walter Brennan)と再会した彼は、ロッタ(既に故人)の娘で彼女に瓜ふたつのロッタ(Frances Farmer二役)と出会ってときめいて、スワンを助けるふりをして一家を自分ちの近所に呼び寄せて世話をやき始める。
でもロッタに惹かれてしまったのはバーニーの息子のリチャードのほうでー。
"Come and Get It"ていうのはバーニーが伐採場の飯場でトライアングルを威勢よく打ち鳴らしながら「メシだぞー」てみんなを呼び寄せるときの掛け声で、若い頃のバーニーと権力を手にした後のエンディングのそれぞれで対照的に繰り返されるのだが、邦題の『大自然の凱歌』だとちょっとわかんないかも。
ストーリーのまんなかのテーマは成功を手にするために恋を捨てた男の老いてからのじたばたと悲哀、だと思うのだが、見どころは前半のダイナマイトどっかーん、ばっしゃーん、のすさまじい伐採シーンとロッタと出会ったバーで、椅子をアンダースローから投げまくり、お盆をびゅんびゅん飛ばしまくる大げんかのシーンで、やっぱしHoward Hawksだねえ、になるの。
"Love Me Tender"の元歌て、ここで歌われる"Aura Lee"だったんだねえ。
Living in a Big Way (1947) 『でっかく生きる』
監督は"My Man Godfrey"のGregory La Cavaで、主演はGene Kellyだから見ないわけにいかない。 すばらしくおもしろかった。
戦地に赴く直前のレオ(Gene Kelly)はマーゴ(Marie McDonald)と慌ただしく結婚して、戦争が終わって意気揚々と彼女に会いにいってみると、ドアノブの職人をやっていると聞かされていた彼女の実家は大豪邸、彼女はセレブどまんなかの暮らしをしていて唖然、彼の帰還を歓迎しないどころか結婚していたことすら隠していた。 マーゴを諦めきれない彼は彼女の祖母の協力を得て、廃墟になっていた本邸の改築をして家のない人達のためのハウジングプロジェクトを始めて、彼のまわりに人は集まってくるのだが、他方で離婚調停を進めるマーゴとの関係はどうなる? ていうお話なの。
登場人物の本音・核心発言をどこまでも迂回して回避しまくる脚本が素敵で、物語が佳境に進むにつれて彼らの言葉がその表情や態度とくっきりと乖離してくる、その果てに現れるのは愛か諦めか。
そして、そんなふうなのに犬と踊り、子供達と踊り、更には建物の梁とまでダンスをしてしまうGene Kellyの粋なかっこよさときたらなんなのか。 (彼が女性と踊るのは冒頭の"It Had to Be You"でマーゴとだけ)
レオを気に入ってあれこれ言ってくるおばあちゃんとか、愚直なんだか陰険なんだかわからない執事とか、戦争で夫を失ってレオに惹かれていく未亡人とか、脇役もとっても揃っている。
ダンスの振付けはついこないだ、89にして新作に着手することを発表したStanley Donenで、使いっ走りだった彼を有名にしたのはGene Kellyとの"Cover Girl" (1944) だった、と2010年のトークで言ってた。 ステップとコマ数を正確にカウントしておけばどんなシーンだって作れるのじゃよ(コンピュータいらない)、と。 その言葉通りのものすごく緻密な、でも楽しいダンスを見せてくれる。
あんな廃墟だってがんばればあんなふうに再生できるし。 こんなふうに「でっかく生きる」ことと比べたらお片づけなんて、ということにしたの。
1.04.2014
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