2.23.2013

[film] 手討 (1963)

これの読みは「てうち」だよね? 手討パスタ..  とか、だれもいわない?

渡英の前日16日、神保町シアターで見ました。戻ってきたらもうやっていないだろうし、『疵千両』がおもしろかったから。

退屈な、でも偉いひとがいっぱいいる真面目なお能の席で、あくびをした旗本(若山富三郎)が、怒らせたらやばい相手の前でやっちゃったからけじめを... とかいう理由で切腹させられて(能の100倍かっこいい切腹シーン)、仲間の旗本衆はみんなあたまきて、以来徒党を組んで街中をぶいぶいうろつくようになる。

その傍ら、旗本の青山播磨(市川雷蔵)は自分の屋敷で働いている豆腐屋の娘、お菊(藤由紀子)とべったり恋仲になってて、お家柄とか身分とか関係ないめおとになるのじゃ、ていうのだが、先の顛末を恨んで野蛮な旗本衆が起こした騒動のカタをつけるために、加賀家のお嬢さんとお見合いをさせられるの。  (ふざけんな、と播磨は見合いを途中放棄)

お見合いを知ったお菊は、わなわな取り乱して家宝のお皿をわざと割ってしまって、最初は過失で片付けようとしたのだが、いえ、お見合いの話を聞いて目の前が真っ暗になり、どうでもよくなり死にたくなってやってしまいました、て正直に言ったら、播磨は、お前にそんな思いをさせてしまってすまん許せ、て返して、ああそのお気持ちを聞けただけで十分でございますわたしを殺してくださいまし、って言って播磨はそうかわかったどうせこんなくそったれた世の中未練ないから一緒に天国に行こう、っていうの。

こんなにパーフェクトな心中ロジック&シチュエーションそうはないよね、って感動して、播磨がお菊に刀を振り下ろした瞬間、桜の花が地から天へと逆流して、生と死の世界が鮮やかに反転する、そこを抜けて死の世界に向かう播磨の透明な身体の美しいこと。 面目だの対面だの格式だの見栄だので固められたゴミのような現世、そんなのを遙かに飛びこえた永遠がそこにはあるの。

皿屋敷って、こんなお話しだったっけ? と思ったのだが、結構いろんなバリエーションがあるのね。
でもこのふたりだったら絶対化けてでるようなことはない。 割ったお皿のほうを家宝にするんだ。

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