2.20.2013

[film] 疵千両 (1960)

連休最後の11日、神保町シアターで見ました。
このタイトル、「きずせんりょう」でいいんだよね? 
「あざ」だか「きず」だかどっちだかわからなくなって、窓口で「これください」て指をさしたの(恥)。

今やっている特集の『時代劇の粋と美学~大映京都の二枚看板・田中徳三と三隅研次』は、どれもかっこよさそうなので1本でも多くみたいところ。

お家断絶が決まった会津藩で、「悪いのはぼんくらな家臣共だ」ていう東郷茂兵衛(河津清三郎)と「いや、我々もわるいのじゃ」ていう高倉長右衛門(長谷川一夫)が大口論になって、元々幼馴染の親友のふたりなのに、日本人なんだから飲みにいってまあまあ、とかやればいいのに、決闘だ決闘! てなって大雨のなか決闘して(すごく痛そうな刺しあい)、お互い傷だらけになりつつも高倉が勝つの。 で、高倉のとこで下女をしていたすが(香川京子)と東郷の弟の又八郎(小林勝彦)はずっと恋仲で、お家断絶と決闘を機に江戸に渡って子供も生れるのだが、又八郎は兄の仇である高倉のことを忘れず、じーっと恨んで狙っている。

ある日高倉を見かけた又八郎は、彼めがけて白昼切りつけ、その場(街中、おお迷惑)で決闘になって、ここでもぐさぐさの斬りあいになるのだが、又八郎のほうがダメージが大きく、でもトドメはささずに高倉は立ち去る。
又八郎はおうちに担ぎこまれるが、やがて医者もさじを投げ、ごめんようーて妻に向かってびーびー泣き続けるもんだから、すがは刃物をもって夜中の高倉邸に忍びこみ、それで...

どの構図もぴしーっとかっこよくて、更に伊福部昭の音楽がきりきり絡んで(特に2回目の決闘シーン)ものすごい緊張感を生み、最後まで痺れて興奮しっぱなしなのであるが、他方、とにかく又八郎が救いようのないバカで、こいつの独りよがりのわがままのせいでみんなが不幸になる、いいかげんにしろよ、てずっと思っていた。

高倉も散々だよね。 親友の愚痴を聞き流せばいいのに口を挟んだばっかりにそいつを殺すことになって、その弟に延々恨まれて、決闘で体中疵物にされて、更には昔ほんのり片想いしていたすがも失い、ぜんぜん関係ないその子供を押しつけられてしまう。
ついてない...   

お家断絶とか仇討ちとか切腹とか、かつて美しいとされていた慣行とそれに伴う悲劇を美しく描く、それはそれとして、というかそれゆえにこそ愚行はより一層際立つのね。 ちゃんとした映画はこういうことまできちんと教えてくれるの。 

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