6.30.2012

[film] Lola Versus (2012)

24日の日曜日、NYに着いたらとっても夏の陽射しで、あっつくて、空港からのtaxiに冷房がなくて、なかなかひどかった。

この日は、Pride March(通称ゲイ・パレード)の日で、街中が虹色に染まり、これがくると夏だねえ、というものなので、荷物を置いてとりあえずChelseaにパレードを見にいく。 何回見てもいいなー、とおもう。 反原発デモもだいじだが、こういうのも必要なのよ。

で、アイスクリームなどを求めてひととおり徘徊したあとで、Astorのシネコンで見ました。
公開は6/8だったのに、マンハッタンで上映されているのはもうここだけになってしまっていた。

予告で流れた2本の青春映画(かなあ...)、"The Perks of Being a Wallflower"と"Ruby Sparks"、どっちも見たいようー。

主演のLolaは、Lena Dunham と並んで、いまや最強無敵のGreta Gerwigさんで、とにかくおもしろい。
これのひとつ前の"Damsels in Distress" もいろんな人とのいろんなプレイでなかなか痺れさせてくれたが、こっちはたったひとりなのに、とってもすごい。

Lolaは30目前で、一緒に暮らしている彼がいて、プロポーズもされて、式の手配も進めて幸せだったのに突然向こうからごめん、て言われる。
こうしてどん底に叩き落とされて錯乱したLolaの世界との戦いがはじまるの。 
クラブにいったり別の男とやってみたりとか、でもぜんぶうまくいかない。 うまくいかないまま、すべてが悪いループにはまっていく。
で、Lolaにはとってもわるいけど、その様があまりにかわいそうでおかしいのでげらげら笑える。

そんなすごい美人さんでもなくて、体型もどことなくおばさんで、そんな彼女が顔を歪めたりびーびー泣いたりするのがたまんない。
Russ & Daughters(乾物魚屋)で男に声かけられて取り乱しつつ店先でサーモンをむしゃむしゃ食べてしまうとこなんて、すごすぎる。

これこそが、いまの時代の、コメディの形をとった「こわれゆく女」、なのかもしれない。
愛の喪失によって垂直に崩れおちていく自我、というよりも、右から左から上から下から一切の方向感覚を失ってきりきりとブラウン運動を続ける女いっぴき。  友人も両親も、別れた彼ですら、はらはらして寄ってくるのだが、そうっと見ていることしかできない。
でもそこに悲壮感や気持ち悪さみたいのは一切ないの。 本人は大変そうだがとにかくあっちこっちにぶつかって、ぶつかることでなんとか立っていられる、どうだ! みたいな。  曲芸を見ているかんじに近いが、なんにせよすばらしいわ。

Lena Dunhamさんと似ているのは、基本は仏頂面で、目が笑ってなくて(なんで笑わなきゃいけないのさ?)、なんかあると頬と口の線に現れるうにゃうにゃした線がすてきなの。
コメディであることを狙ったおかしな挙動や表情ではなくて、わたしは恋に生きるんだそれのどこが悪いんだ、という決意表明を茶化しつつも極めて真剣に、それがぜんぜんすんなりいかないくそったれた時代を蹴っとばしてやる! ていう、あれはそういう目だ。

Lolaがふらふらと寄っていく友人の男に、"The Future"でMiranda Julyの相手役をしていたHamish Linklaterさんがいて、あれと同じようにぼんやりふわふわしたとこがよいし、パパとママ役のBill PullmanとDebra Wingerも、適当なことしか言わないとこがいい。

New YorkのいろんなとこでロケしているNY映画でもあるのだが、有名なとこはあんま - Highlineくらいか - なくて、そこがまた全体のせかせか落ち着きなく重箱の隅でうろちょろしているリズムとマッチしていてすてき。

続編なんて、ぜったい作ってくれないよね?


映画のあとは、Brooklynに渡って、前回入れなかったBattersbyに再び突撃を試みたのだが、なんと営業時間が変わって日曜は休みになっていた。 気を取り直してPrime Meatsに向かい、HampshireのPork Chopに噛りつく。 PorsenaのNiman Ranchのと同じくらいブリリアントな一皿でございましたわ。

帰りみち、まだ薄暗い程度だったのだが、Caroll Stの駅の近くの住宅の庭でホタルが舞っているのを見て感動した。
ホタルみたの、生まれてはじめてだったかも。  しかもBrooklynなんかで。

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