6.19.2012

[film] Jane Eyre (2011)

10日の日曜日、日比谷で見ました。

英国文学の古典だし、ストーリーとかはいいよね。
あ、でも原作通りに時系列できちんと追っていくわけではなくて、映画はRochester邸を絶望のあまり飛びだしたJaneが嵐の荒野を彷徨って死にそうになりながらSt John Riversに拾われ、朦朧とした意識のなか、回想するとこから入るの。 
原作通りに彼女の延々続くおしゃべりを画面に落としていったら(それはそれで見たい)大変なことになるだろうからこれはよい入口かも。
もちろん、原作読んでいなくても、おお昔に読んでとうに忘れてしまったひとでも、ぜんぜん平気。

よい映画でした。
よい原作、よい俳優、的確なロケーション、素敵な衣装、これだけで十分よい映画になる。
いいの、こういうの好きなんだからほっといて。

特にふたりの演技がすばらしい。
Janeを演じたMia Wasikowskaの寡黙で、でも揺るがない意思を含んだ頬の線とあの目の力、Rochesterを演じたMichael Fassbenderの - X-Menだろうが破廉恥だろうがユングだろうがアンドロイドだろうが、とりあえずなんでも受けとめて変態してしまう懐のでっかさ。 このふたりが最初に火のそばで向かいあって会話するシーンの凄まじい緊張感を見てほしい。 
ふたりの若い俳優がありったけの演技細胞を沸騰させて、思いっきりぶつかりあっている。

Mia Wasikowskaさんは、Aliceよりも断然こっちだと思いました。
Jane役の候補には当初Ellen Pageさんもあがっていたらしいが、これを見てしまうとMiaでぜんぜんよかったかも。

原作の基調音としてあった愚直なまでのキリストへの思いは、映画ではばっさり削いでしまった分、ドラマチックなうねりに欠けることは確かで、ここは賛否あるのかも。 でも今の若い人たちに十分くるものはくるはずだし、小中学生全員に見せるべきだとおもった。

宗教的な要素を削るかわりに、ほんのりホラーぽいところを入れていて、これも悪くないの。 それも少女だからって安易にゴスとかどろどろ系に走ることなく、抑えた白っぽい光を効果的に使ってて、それがまた素敵で。 

このトーンで最近の英国ドラマぜんぶ - Jane Austenひとそろいと、お粗末すぎてかなしかった"Brideshead Revisited"あたりまで、やりなおしてほしいんですけど。


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