Film ForumのBresson特集、あんなに素晴らしい「やさしい女」を見たら「白夜」だって見ないわけにはいかなくなる。
前にも触れた講談社文芸文庫にもこの順番で入っていたしね。
上映は木曜晩の7:00と8:40の2回だけで、これもやっぱし売り切れてた。
プリントのリストレーションは、本作の撮影を担当したPierre Lhommeさんで、彼のリストレーションがどんなに見事かは、メルヴィルの"Army of Shadows" (1969)の成果を見れば明らかなのであるが、今回のも全面的に異議なし。
くすんだ薄緑とメタリックに爛れて潰れたグレーのかっこいい!としかいいようのない色合いとか。 ここだけで、第一級の美術品のようでしたわ。
なんか、こんな話だったっけ? というのが最初の印象で、Visconti版の「白夜」で思い出されるかわいーかわいーマリア・シェルとか雪雪雪とか変なゴーゴーとか、ああいうのは一切出てこない。
まず、主人公の男がへんだ。 鼻歌歌いながらいきなり野原ででんぐりがえったりしている。
(イメージとしてはWes Andersonね)
そんなへんな奴なので、悲恋物語のはずなのに、かわいそうじゃない感が全面に出てしまう。
このへんの、自業自得だろのかんじは「やさしい女」においても同様なのだが、既に死んじゃったりしているぶんあっちの勝ちかも。(勝ちってなに?)
男が惚れてしまう女の子のほうも、キスしながら目をかっと見開いていたりしてこわいし。
彼女がずっと待ち焦がれている男もなかなか気持ちわるい。
で、ところどころ中途半端にエロがはみ出ていたりする。 困った映画。
すごくすきだけどこういうの。
全員がほとんどしゃべらず、顔も動きもサイレント映画のそれで、音楽はところどころ楽しく鳴ったりして、全体としては軽快なふう。
でも、悲恋で、かわいそうなお話なんだとおもう。 たぶん。
このへんの冷たくとっちらかって突き放したかんじが、Bressonなのね。
なんも説明してくれない。 かわいそうって、いったいどういう状態のことなの? とか。
あと、映画館でやってた変なギャング映画みたいの、あれなに?
1.21.2012
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