いっぽんいっぽん書いてる時間がぜんぜんないので、適度にとばしていきます。
先月29日の夕方にユーロスペース、Glauber Rocha特集のつづき。
"Barravento" (1962)
ローシャの長編1作目、モノクロの映像がとてもきれい。
バイーアの漁村に古くから残る因習や儀式(+それに左右される漁)と、彼らを縛ろうとする領主と、都市から戻ってきた若者、この3者の葛藤がバイーアのでっかい海(すばらしい海だ)、鳴りやまない土地の音楽をバックに、極めてシャープに切り取られる。
画面構成と編集のかっこよさ、畳み掛けるような怒涛の展開は、既にローシャのもので、そしてその視座と力強さは、このBarravento - 大地と海が一変して、生活や社会が激しく変わる瞬間 - をしっかり見据えるべく、ここから遺作となった『大地の時代』まで、ぶれなかったのだなあ、と改めておもった。
”Red Riding Hood” (2011)
『赤ずきん』。 2日の土曜日に新宿で。
どっかの山奥の山村で、狼の化け物(Werewolf, 字幕は「人狼」だって)が出ると言われてて、その人狼を退治するはなしと、貧しい家族のために両想いの幼馴染とは別の相手と結婚するよう言われて揺れる赤ずきん娘と、仲良いんだか悪いんだかよくわからない彼女の家族と。
より具体的にいうと、人狼はどうも村の内部にいるようで、それって誰よ? というのと、彼女のそばに寄ってくるのがどっちもいい男なのでどうしよう困っちゃう、ていうのと、なんでみんなあたしのことじろじろ見て疑うのよ! ていうのの3面少女漫画構成で、あんまし怖くなくてよかった。
なんかどっか似てるかも、と思ったら監督は”Twilight”サーガの1作目を撮ったひとだった。
人狼に噛まれたひとは(即時ではないが)人狼になっちゃう、という設定は、ゾンビか吸血鬼か、だし、もうちょっと伝奇的なところとか、血縁どろどろとか、殺戮の陰惨さとか、悶々溜まっていく怒りとか不満とか、入れてもよかったのかもしれないが、あくまで女の子向け、ということで。
でも、主演のAmanda Seyfriedさんて、ホラー向けの顔だし、もうちょっとじたばたするかと思ったのだが、腰の据わった村娘、みたいなどすのきいた目が逆に頼もしくて、それが最後のほうで。
人狼退治でどこからか流れてくるちょっと狂った神父にGary Oldman、主人公の祖母(おばあちゃん、おばあちゃんのお耳はなんで・・・)にJulie Christieと、脇もよいのになー。
赤ずきんの赤は、雪景色に映える鮮やかな赤で、血の赤ではなかった。 それになんであんな長いのかとか、そのへんの説明がもうちょっとあってもよかったかもしれんが、そんなの誰も気にしないか。
でもそんなのよか、要は、彼が狼だって、家族が狼だって、村八分にされたって、負けないで生きるのよ! ていうメッセージなの、かなあ。
"Let Me In" (2010) もそうでしたが、弱いけど、儚いけど、あえて異形のものに寄り添って、街や村から出る、一緒に行く、そういう系の-。
予算の関係もあったのだろうが、人狼、もうちょっとなんとかすれば-。
あとあの風情もくそもない赤い月とか。
音楽はBrian Reitzellさんで、地味だったがところどころとんがってて悪くなかった。
7.11.2011
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