7.31.2011

[film] The Myth of the American Sleepover (2010)

月曜日の夕方、とつぜん時間があいたので、Angelikaで見ました。
まったくマークしていなくて、ポスターだけ見てなんとなく。

David Robert Mitchellのデビュー作。
2010年のSXSW Film FestivalでSpecial Jury Award(Best Ensemble Cast)を受賞している。

Trailerはこちら。
http://www.imdb.com/video/imdb/vi1509202969/

これはねえ、あたりだった。すごくよかった。

Sleepoverていうのは、お泊まり会のことで、一晩、どっかの家とか体育館に寝袋持って集まってだらだらおしゃべりしたりゲームしたり、そういうイベントで、映画は夏の終わり、新学期が始まる前のひと晩、いろんなとこで開かれたSleepoverに集まって来たティーンの様子を描いたもの。

ミシガンの郊外、メインになるのは4人、顔じゅうにピアスしたショートカットでころんとした女の子、スーパーマーケットで見かけた女の子を探している男の子、シカゴの大学に行くことが決まっていて、双子の女の子を好きになってしまった男の子、友達の彼にキスしてしまった三つ編みの女の子、どれも、ごくふつうの、どこにでもいそうな。

学園モノ、と呼ぶことができるのかもしれないが、親達も教師達もジョックスもナードもチアリーダーも、そういうのは出てこない。
いじめもなりあがりもない。 ドラマはない。でもドキュメンタリーでもない。

たぶん、まだ90年代なのか。
だれも携帯持っていない。TextもTwitterもFacebookもない、そういう時代の。

みんな友達や彼・彼女と一緒に手つないで夏休みをだらだら過ごしているだけで、そんな彼らがそれぞれのぼんやりした期待とかわくわくと共に寝袋を抱えて家から家に集まってくる。 月夜の蟹の産卵みたいな変な行動、に見えないこともない。

おしゃべりして、ゲームして、告白して、TVみて、酒のんで、大抵はうまくいかない、けど惨劇にもパニックにもトラウマにもならない、夏の虫さされ、すり傷、程度の。 でも真夜中にむかっていく胸の高鳴りとか、夜明けに向かっていくあのなんともいえない高揚感とか、それらはずうっと残る。 たぶん一生、のこるよ。

それらをはじめてのように経験するひとりひとりの表情、希望、失意、諦念、とか歩き方とか、そういうのがほんとにいいの。
画面はなんか処理をしているのかもしれない、リアリティ系の嫌な陰影はあまりなくて、乾いたつるっとしたクラシックな色使い。

音楽はほとんどカーステとかラジオから聴こえてくるハードコアみたいのが殆ど。
唯一、デブの娘とめがねの娘(殆ど"Ghost World"(2001) 組)が自転車に乗って夏の街をぬけていくシーンで、Beirutの"Elephant Gun"が流れるの。
これだけで、もうだめ。 この映画ぜったい、いい。

他にも双子の子を外に連れ出すとことか、でぶの娘が踊りだすとことか、いろんな、ほんとにちょっとしたすれ違いとか傷とか、なにもかも控えめに、でも大切に掬いあげようとしている。  

神話(Myth)て、こういうふうに作られるものなのよ、って。

いいなあ、夏の映画。

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