11.01.2022

[film] RRR (2022)

10月22日、土曜日の昼、109シネマズの二子玉川で見ました。IMAXレーザーで。179分。

RRRっていうのは、Rise - Roar - Revoltの3つのRである、と。同じ監督による『バーフバリ』シリーズは見ていない。

1920年、英国植民地時代のインドで冷酷非道な総督スコット(Ray Stevenson)と妻キャサリン(Alison Doody)によって村の娘を連れ去られてしまった「羊飼い」 - 村の民を守って救うことに命をかける - ビーム(N.T. Rama Rao Jr. )と英国軍の警察官として頑強不屈の忠犬ぶりを発揮するラーマ(Ajay Devgn)が運命的な出会いと課せられた使命の捩れを経て救出と植民地からの解放をいっぺんにぶちあげる豪快なお話。

予告篇にも出てきた出会いのところから、暴走機関車(= 英国)から力を合わせて子供を救う2人の対照が、火と水、馬とオートバイ、橋の下からの放る-受ける、などによって象徴的かつわかりやすく示された後、村娘を救うべくなんとか宮殿内部に潜入しようとするビームと、亡父と許嫁シータ(Alia Bhatt)との約束を果たすべく英国軍の内部に潜入していたラーマ、彼を「兄貴」なんて呼んで義兄弟のようになったところで、実は追って追われる危険な関係であったことがわかり、でもこのままだとどっちみち死ぬだけだよどうするんだ? になるまでに兄貴のラーマがどうしてそういうことになってしまったのか、を描く。

それらの背景、因果とか動機とか、掘ろうと思えばインドの民間伝承からヒンドゥーの死生観や自然観から植民地主義への恨みまでいくらでも起源とか鉱脈とかありそうだし実際あるのだろうが、画面はそれらを全部ふっ飛ばしてもびくともしないでっかさと過剰さで、アクションからダンスから群衆(規模!)からリアルな物量でぶちあげて、ついてこい! しか言わない。赤ん坊でもわかるから、とりあえずこい、浸って浴びろ、話はそれからだ、ってだいぶ経ってからタイトルが、まるで昔の(最近のは知らないから)少年ジャンプみたいにどかーん、て出る。

とにかく主人公たちはぜったいに死なない。群集からリンチのようにぼこぼこにされても、毒蛇に噛まれても、多少撃たれたり斬られたり刺されたりしたくらいでは死なない、というか死ねない。こんなことで、このくらいの傷で、あんな敵(英国)に、いま殺られるわけにはいかないのだ、なぜなら! と煮えたぎる血と涙が何度も告げる。誇り高きラーマの父だって、決してその最期を英国にやられた、という風にはしなかった。

そしてそんな奴らは獣にでも喰われてしまえ! って敵に向けて放たれる虎、豹、狼、熊、鹿、他にもいた? などの動物たち。インドに生息していたのかどうやって飼っていたのかなんて問題ではないの。連中(英国)こそなんでわざわざ他所の国にやってきて偉そうにやりたい放題するのか? って。V&Aの名物木彫り(大好き) - 虎に食われる英国人 - が浮かぶ。 あのイメージのもつ普遍性ときたら。

そしてそんな獣たちと横並びして獣以上に危険で死なない主演のふたり - 現地では大スターというのも納得・当然の貫禄と目力 - は、炎と水をほとばしる血=ガソリンに替えて踏ん張ってとにかく強い。ふつうにAvengersに入れるレベルだと思うし、ひょっとしたらミュータントなのかもしれない、とか。しかも歌って踊れる – 彼らに対抗できるのはHugh Jackmanくらいではないか。

こんな娯楽アクション - 歌も踊りもたっぷりの - 大作であればあるほど、植民地支配されていた時代の記憶というのはどす黒く残って消えないものなのか、と - これはかつて植民地支配をしていた側の国としては思うしかない。できるのであればこれを受けるかたちで森から出てきた二人組に統治機構をずたずたにされていく恐怖を英国軍側の視点でホラーとして描いてほしい。できればDanny BoyleかMatthew VaughnかSam Mendesあたりに。出したければKing’s Manとかを出したっていいよ。

とにかく3時間、緩むことなく次々とお皿を出して回して、じゅうぶんお腹いっぱいなのにいいから、って出してきて踊らせてしまう強引さはすごいわ、しかない。

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