8.22.2018

[film] BlacKkKlansman (2018)

こっちから先に書く。 20日の月曜日の朝7:30くらいにヒースローに着いて、タラップ(タラップだった..)を重い荷物抱えて降りて、地下鉄でおうちに戻って荷物担いで階段昇ってへろへろになり、でも洗濯終わるまでは寝ちゃいかん、て眠気覚ましに今晩なんか見るのないかしら、って探してたらこれがあって、メンバー先行の時点であっという間に売り切れていたやつなのだがうとうとしながら粘ってみたら昼過ぎに釣れたので安心してお昼寝した。

BFI Southbankで18:15から。上映後にSpike LeeとのQ&Aがあって、その模様は全英180箇所くらいに同時配信される、と。
会場に入るとTemptations とか昔のソウルががんがん流れていてあがる。

“Gone with the Wind” (1939)のあるシーンから始まって、そこに大学のセンセっぽいAlec Baldwin(誰を指しているかはすぐわかる)がインチキ史観を得意げにかますのが冒頭。

70年代頭、コロラド・スプリングスの警察にふっくらアフロのRon Stallworth (John David Washington)が入って、最初は記録倉庫に配属されて腐っていたら次はマイクを付けられてコロラド大学に来た黒人解放運動のリーダーの演説会のUndercoverをやらされ、そこにいた学生側のリーダーのPatrice (Laura Harrier)と出会って、演説と彼女の熱にやられてしまう。

ある日KKKの募集広告を見たRonは、職場のデスクからそこにあった電話番号に電話をかけて、おれはニガーがだいっきらいで我慢ならねえって話をしたら向こうから会おう、って言ってくる。その際に本名を名乗ってしまったのでおまえバカか、って言われるのだがRonの替わりにFlip (Adam Driver)がなりすましで向こうに潜入して、最初はおまえユダヤ人じゃねえか、って疑われたりするのだが、ぎりぎりかわして組織に信頼されていって、Ronの方は電話の口先だけでKKKのGrand Wizard - David Duke (Topher Grace)と定期的に話をするところまで行ってしまう。

やがて、David Dukeがコロラド訪問するというのでFlipは当然その集会に出なければならず、Ronの方はよりによってDavid Dukeの当日のボディガードを任命される。ここに合わせてKKKは爆弾テロを計画していて、さてみんなどうなっちゃうのか。

ストーリーだけだとこんなかんじなのだが、背景としてRonとPatriceの恋とか、当時流行っていたBlaxploitation Movieのこととか、KKKの集会で上映されて喝采を浴びる”The Birth of a Nation” (1915) - 『国民の創生』とか、その模様に対比する形でHarry Belafonteが学生たちに向かってリンチされ殺されていった同胞たちの歴史を重く静かに語るとことか、幅と厚みがいっぱいあって、でも基本は軽妙な活劇なの。 それでも最後は2017年の8月に起こったCharlottesville attackの映像とくそったれトランプまで出てきて終わる。冒頭のフェイク(トランプ) →  嘘のような本当の話 → リアル(トランプ)という流れと構成になっていて、つまりぜんぜん終わっていないよねこの件、と。

Standing Ovationで迎えられたSpike Lee - 見るのは初めてじゃない、New York Knicksのゲームに行くと大抵いたから – は、いつもの調子でいろんなことを話してくれたが、いくつか。
  • この話(実話)はプロデューサーのJordan Peeleが原作本を送ってきて初めて知った。
  • この映画で”The Birth of a Nation”と”Gone with the Wind”を引用したのはこの2本がアメリカの建国の歴史のある側面を象徴していると思ったから。
  • “The Birth of a Nation”を見るなとは言わない、あの映画に描かれていること、あの映画がホワイトハウスで上映されたということについてもっと議論されるべき、ということは言いたい。
  • 政治はこわくない。こわいのは映画のようなかたちで時間をかけて浸透していく文化のほう。
  • 映画にこういった政治ネタを持ちこみたがらない人がいるのはわかる。でもそういう態度自体が既にじゅうぶん政治的なんだよ。(← ほーら)
  • 最後にCharlottesvilleの映像を入れたのは、これが今も継続している問題だということ、米国の歴史はこういった延々続いている負の犠牲の上に成り立っているいるのだということを認識してほしいから。 だから2か月後の中間選挙と2年後の大統領選に向けて..(以下略)。

Spike Leeの映画が映画マニアみたいなひとたちの間であんま評判よくないのは知っているけど、これは本当におもしろいので見てほしい。クライマックスの紙一重のとこなんてほんとはらはらで楽しいから。

主演のJohn David Washingtonて、Denzelのとこのぼんなのね。The Equalizerの子。

“I, Tonya”でほれぼれするようなぼんくらを演じていたPaul Walter Hauserさんが同様にKKKのぼんくらをやってて、最高。

これが日本でどんなふうにプロモーションされるのかわからないけど、ここにあるヘイトや侵略、差別の構図 – 美しい国とかいうとんちき妄想 - は日本でもまったく同じだからね。沖縄とか北海道に対してひどいことやってきたんだから。まちがえないでね。

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