8.13.2018

[film] Gun Crazy (1949)

7月25日、水曜日の晩にBFIで見ました。ここでずっと毎週なんかやっているクラシックを大画面で見ようの特集で、7月のテーマは”When Love Goes Wrong…” - 「愛がこじれちまった時…」 - だって。
最初に上映された時のタイトルは”Deadly Is the Female”だったがあんまりではないか、ということで現在のになった。 邦題は『拳銃魔』。 ぴっかぴかの35mmフィルム。

上映前にKings Collegeの先生による簡単なイントロがあって、公開当時、フランスでは当たったけどアメリカとイギリスでの評判は散々で、特にイギリスではLaurieを演じたPeggy Cummins - こないだ見た “My Daughter Joy” (1950)のJoy役ね - がハリウッドで成功したイギリス女優、ていうイメージだっただけに、なんで彼女があんなビッチなのを(怒)、ていうのもあったのだって。

Bart (John Dall)は14歳の頃に拳銃店のウィンドウのガラスを割って銃を盗もうとして捕まって、矯正院に入れられた過去があって、でも出所した後も銃への偏愛は止まずに、幼馴染ふたりといつも銃で遊んだりしていて、だから銃の扱いは巧いのだが決して生き物は撃たないようにしていた。 そんな彼が巡回する見世物小屋の拳銃ショーみたいので、銃使い芸人のLaurie (Peggy Cummins)と出会って、互いに腕を認め合って恋に落ちて結婚するのだが、Laurieは豪快な浪費家ですぐにお金がなくなって、強盗とかをするようになって、それが重なって遂に襲撃した会社の給与課で人を殺して全米のお尋ね者になっちゃって、最後には逃げ場がなくなってBartの実家に戻ってくるのだが、そこにも当然 …

Bartの銃フェチも、Laurieの狂気凶暴も、それが何に起因するのか、彼らの行動がそれらのどの辺を突っついて起動されるのかきちんと説明がないまま、彼らは目配せするなり向こうのほうに一目散に突っ走っていってしまう、その挙動一式はCrazyとしか言いようがなくて、だから”Gun Crazy”なのだろうが - 邦題はちょっと違うよね - それでも、Bartの家族や幼馴染たちは彼を - 彼のCrazyじゃないよいこのところを - 信じていて、最後はそれが彼らの自滅の元になってしまう、という皮肉。 でもそれって冒頭の裁判のところでわかっていたじゃん、て。 だからつまりは”Deadly Is the Female”なんだなって。

“They Live by Night” (1948) - 『夜の人々』にしても、一連のBonnie & Clydeモノにしても - 犯罪をしたカップルが逃げていく破滅劇のなかに置いてみたとき、ふたりの絆とか愛の深さみたいのがあまりきちんと描かれていないので、それが破滅したときのあまり悲しみは来なくて、逆にそれがふたりの理不尽なアクションに勢いを与えていて、痛快ですらあったりする。 出会い頭に散った火花の勢いそのままで最後まで行ってぷつりと終わる。 スチールにある銃をぶっ放そうとするLaurieをなんとか押しとどめようとするBart、のあのすばらしい一瞬にすべてが入っている。

これ、むかしNYのFilm Forumで見たのが最初で、MOMAでも見て、でも何度見てもぜんぜんWetに来ないのってすごいなあ、って。 “They Live by Night” (1948)は、劇場でかかる度に、もう10回以上は見ていて、見るたびにボロ泣きなのにねえー。

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