5.19.2018

[art] Amsterdam

4月27~28日でオランダのAmsterdamに行ってきた。

1泊にした理由は美術館ふたつと公園ひとつなので、そんなにいらないかしら、程度だったのだが、やはりぜんぜん足らなくなった。で、反省もこめてもう一回行くことになるのよね。
いろいろ誤算もあって、27日ってKing’s Day - 国王の日、ていう祝日で、天皇誕生日でしょ、くらいに思っていたらなんかみんなオレンジ色の服とか帽子とかを纏って酔っ払ってどんちゃん騒ぎをする日のようで、美術館はやっていたけどレストランとかはほぼ全滅だったり。

降りたった空港はAmsterdamで、でも着いてすぐにトラムと電車を乗り継いでハーグに行った。

Mauritshuis

今回のいっこの目的はフェルメールの総本山に突撃することで、それは95-96年、WashingtonのNational GalleryでのでっかいVermer展に行ったら大雪で飛行機遅れて入れなくて憤死しそうになったのの20年越しのリベンジなのだが、とにかくオランダを攻めこめばだいたいカバーできる。あとはドレスデンくらい。

美術館というよりはFrick CollectionとかWallace Collectionに近いかんじで、でもその密度ときたらなんかすごい。

フェルメールの「真珠の耳飾り」にようやく見れた「デルフトの風景」に、レンブラントだと自画像 (1669) に解剖学講義 (1632)に初期の”Simeon's Song of Praise” (1631)に、ルーベンスだと「蝋燭を持ったおばあちゃんと子供」Old Woman and Boy with Candles (161-17)に同じく天使むんむんの”’Modello' for the Assumption of the Virgin”(1622-25)に、パパ・ブリューゲルとルーベンスがやりたい放題の「楽園のアダムとイブ」- The Garden of Eden with the Fall of Man (1615) - これ、Metropolitanにある共作のよか楽しいし。

動物に静物もよいのがいっぱいで、でっかくてほれぼれする”The Bull”に、飛んでいっちゃいそうなくらい繊細な”The Goldfinch”に、野いちごに杏に。

これの隣にあった監獄博物館 - Museum De Gevangenpoortも入ればよかった、と今後悔している。

28日の朝、8:30発のツアーバスでチューリップを見に行った。
前日の晩は先に書いたように国をあげてのどんちゃん騒ぎの渦で、右みても左みてもビールやお酒(だけなのか?)を手にしたらりらりの酔っ払いだらけ、音楽はいろんなのがどうどう鳴りっぱなし、運河にも酔っ払い満載の船がいっぱい出て欲望垂れ流しまくりで、ああこれがブリューゲルの国かー、だったのだが、朝になったらゴミはきれいに掃除されていたので感心した。

Keukenhof

この時期に行ったのはチューリップの花畑を見たい、ていうのもあって、だって子供の頃お花といったらチューリップ(赤)かひまわり(黄)くらいしかなくて、チューリップはわかりやすいので好きだったの。 アムステルダムからバスで40分くらいで、チューリップが何万株だかあって、開いているのは一年のうち3月から5月までだけで、それ以外の期間は閉めて、その間そこのスタッフはひたすらチューリップばかり育てているのだという。なんかすごそうじゃん。

で、実際にすごくて、あんなに沢山の種類と数のチューリップをいっぺんに見たのは初めてだったのだが、チューリップの先っぽのシェイプがだめなひと(なんているかどうかわかんないけど)だったら、あれ死ぬよね、ていうくらい束になって襲ってくる。これを造ったひとって、なにを達成したくてここまでやったのかわかんないくらいにてんこ盛りで。

チューリップの束だけではなくて桜もまだあるし水仙もあるしタンポポもあるし、頭の奥が花模様のだんだらになってきてああ頭の中がお花畑というのはこういうことなのね、と思っていると植物だけじゃなくて動物もいて孔雀が歩いていたり鶏がいてウサギがいて山羊がいて羊がいて子豚がいて親豚がいて、孔雀と羊が同じ小屋に入っていたりする。さすがブリューゲルの国だわ(再び)、とか。ブリューゲルだけじゃなくてルーベンスもゴッホも、こういう花の、色の渦の中にいたりしたのだろうか – そういうのって美術館の展示からだけじゃわからないよね、とか。

Rijksmuseum

ここもでっかいヤマのひとつで、ついに来たんだわ、だったがチューリップの後に街に戻るのが遅すぎたりで2時間もいられなかったのが残念。 MetropolitanやPradoやLouvreとおなじで、底なし沼の恐怖が。
ビブリオテーク見て、Dolls’ Houseみて、レンブラントの夜警みて1628年の自画像みて、ライオン見て、再びフェルメール4点みて(ようやく見れた「小路」)、暴れスワンみて、白アスパラを始めとする細密静物画 - 目がまわってくる - みて、とにかくもう一回来るんだから、これは来ないとなんだから、と言い聞かせつつ身をひっぺがしながら進む。

館内でやっていた特集展示はふたつ。

Ed van der Elsken Through the Eyes of Jan de Bont

映画監督のJan de Bont – “Speed” (1994)とか”Twister” (1996)のひとね – が妻とふたりで収集していたエルスケンのオリジナルプリントを美術館に寄贈したことを受けて、寄贈作品を中心とした夫妻キュレーションによる作品展。セーヌ左岸の有名なあれらを始め、「にっぽん」のも – こういうとこで1960年の大阪のちんぴらに出会うのは変なかんじ – あって、大きな展示ではなかったけど、全体がしっとりとした影に包まれているようで素敵だった。

High Society

その名の通り、ハイソざまーす、と最初から開き直っているたいへん高慢ちきな展示。
最初のほうは、聳えるように大判で絢爛豪華な肖像画が贅を競うかのように並べられて、でっかいとそれだけで壮観で堂々としてて偉そうなのだが、クラーナハがありレンブラントがありサージェントがあり、その部屋を抜けて通路を跨いで反対側は裏ハイソみたいなやや影のある展示があり、更に薄暗い裏通りみたいな18禁の部屋があって、いくらハイソとか言ってもやってるのはこんなもんよ、みたいなのがあって、結果身ぐるみ剥がされてしまうアムステルダムの。

あとここの古そうな裏門(?)から続く裏庭(?)がひっそりしていて夕暮れ時に大変気持ちよかった。


食べ物関係は、オランダニシン暴食が積年の悲願としてあったわけだが、お祭りのおかげでその晩の屋台系は全滅、空いている店も軽く2時間待ち、とか言われてしまうので諦めて、列ができていた立ち食い系のレバノンのお店で巻き物とLentil Soupを戴いたらこれがすごくて、これまで結構いろんなLentil Soupを食べてきたほうだと思うのだが、ベストとしか言いようがなかった。お店の名前はThe Lebanese Sajeriaていうの。 それくらいかー。

そうそう、”The Fault in Our Stars”のふたりが座った運河沿いのベンチ(fakeらしいけど)、ちゃんと見てきた(脳内にCharli XCXの"Boom Clap”をぶいぶい流す)。お守りみたいのがいっぱい巻いてあった。

次回はレンブラントのおうち、アンネフランクのおうち、そしてオランダニシンと白アスパラに突撃したい。

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