4.04.2018

[film] Ready Player One (2018)

ひょっとして同じディストピア系かも、ということで、こっちから書いておく。
Easter4 連休の最後の日、2日の午後にPicturehouse Centralでみました。

3Dだとなんか疲れそうだったので2Dにしてしまった。←だめよね。

予告とかを見て、ゲーム世界でのごちゃごちゃ蠢いたり一揆しているかんじから、『サマーウォーズ』(2009) みたいな、ゲーム上の仮想世界とそれを脅かすなんかと管理運営する側との攻防とか、上から降ってくる圧倒的で強大な力とかを描くシリアスで面倒な(なぜ面倒と思ってしまうのだろう?)やつ – “Minority Report” (2002)とか、”War of the Worlds” (2005)とか系 - だと思っていた。
ら、ぜーんぜん違ったわ。
(ここから先、実際に見てわくわくしたい人は見ないほうがよいかも)

基本は80年代のお気楽バカ映画のノリがぷんぷんのやつだった。“The Goonies” (1985)とかIndiana Jonesシリーズ みたいな、John Carpenterあたりが勢いで撮ってもおかしくないようなやつ。

オープニングでファンファーレのように鳴るのがVan Halenの”Jump” (1983) で、エンディングがHall & Oatesの”You Make My Dreams” (1981) で、そういう映画なの。 RushにTears for FearsにNew OrderにDepeche Modeに ... なんだこれ、って。

舞台は2045年のオハイオ州コロンバス、天まで伸びたでっかいスラム(壮観)ができてて、そこのトレーラーみたいな箱からWade (Tye Sheridan)が出てきて別の廃屋みたいな車のなかに入ってグラスを装着すると向こうには仮想世界のOASISが広がって、そこで彼はParzivalていうアバターになって日々の小銭稼ぎをしている。

で、OASISは設計/開発者であるJames Halliday (Mark Rylance) がOASIS内のどこかに隠した3つの鍵を見つければOASISの全部をあげる、て言って亡くなって、そこのゲーム運営会社を始めとしていろんな賞金稼ぎがやっきになって掘ったり探したりしているのだが、なかなか見つからない。

映画はWade/ Parzivalが仲間アバター(+生身の彼ら)とJames Hallidayの生前の行動とか嗜好とか言動をヒントに順番に宝探しをしていくのと、それをなんとか自分達のものにしたがるゲーム運営会社側の社長 (Ben Mendelsohn) 軍団との攻防を描きながら、Wade達のいろんなことへの目覚めとか学びとか、でもその旅ときたら80’sカルチャーのあれこれを俯瞰したり潜り抜けたり、なんだそれ?/どうしてそれ?  としか言いようがないのばっかしが降ってきてたまんないのだが、とにかく80’sとしか言いようがない楽観主義とご都合主義と反省しない主義であれこれ切り抜けていってしまう。

なぜ90年代でもなく00年代でもなく80年代なのか、単にJames Hallidayの幼年期へのノスタルジア、だけではない気もしていて、その答えを見つけるにはあと2~3回見たほうがよいのかもしれないが、とりあえずはJohn Hughesの映画があり、“Fast Times at Ridgemont High” (1982)があり、“The Shining” (1980)があり、さっきのような音楽がどこでもぱおぱおと渦巻いてて、ナードとかギークの起源がぜんぶあったから、くらいしか言いようがないかんじ。 2045年にもこれらの文化やマインドが継承されている、という点については、2045年にこの映画を見たときに当時の人々がどう思うか、ということでもあるのか。 “Back to the Future”。

“Ready Player One”という掛け声と共に始まるゲームへの入り口、そこから始まる仮想現実の、仮想でしかないということがありありとわかってしまうそのださくてしょぼいかんじ、全てはそこから始まって、そのしょうもなさゆえに真実の愛とか真理とか友情とかを求めて止まなかったあれらの日々が2018年に、2045年の世界の表象を通して投影される(半径おおよそ30年)、その意味は。
(たぶんどこにもないよ)

もういっこは、こうやって仮想の箱に永遠に封じこめられて、殺されても壊されても何度でもゾンビのように蘇えってくる80年代の幻影たちの怖ろしさ。そしてそこに(前述のように)実はあんま意味がないこと。この映画にディストピア的ななにかが描かれているのだとしたら、それは積み上がったスラムにではなく、こっちのほうに。

なんでSpielbergがこんなのを? ていうのもあるけど、たぶんそういう原作があったから、程度ではないかしら。 例によってCGもカメラの動きもさりげなくとんでもないかんじだし、いろんな商標ライセンスをクリアするのも彼だからできた、みたいなとこもあったのではなかろうか。

Mark Rylanceの演じるJames Hallidayって、どっかの映画のなんかで似たのを見た気がするってずっと思っていたのだが、”Independence Day” (1996) でArea 51にいた髪ぼうぼうの科学者にちょっと似ていたかも。

それにしても、2045年になってもポストイットにパスワードを書いて貼ってる経営者がいるとはね。

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