27日の火曜日の晩、Royal Opera Houseで見ました。
Leonard Bernsteinの生誕100年を記念したプログラムで、Royal Balletに縁の3人の英国人コレオグラファーによる3本の中短編プログラムでもって米国人のBernsteinをお祝いする。 レビューの評判がよかったせいか結構Sold outしていた。
Bernsteinのダンス(音楽)、というとNew York City BalletのGeorge BalanchineとかJerome Robbinsとかによる入門編のような - 音楽も、個々の動きの要素もその連なりもシンプルでわかりやすい - 定番のプログラムがいくつかあって、90年代に結構見たけど今見たらどんなふうに見えるのだろうか。
以下、上演順に。各演目の間には30分づつの休憩が入ってて、なかなか間延びしていた。
Yugen
振付はWayne McGregor。19分。
昨年ここで見たこの人による”Woolf Works” (2015) は Max Richterの音楽も含めてなかなか素晴らしくて(その時買った伴奏CDは未だによく聴く)、だから今回のも期待しないわけにはいかない。
曲はChichester Cathedralの依頼を受けて書かれたコーラス曲 - “Chichester Psalms” (1965)で、オーケストラに加えて結構大編成のコーラス隊による荘厳な合唱が被さる。
セットは”Woolf..”の時と似たかんじの中心が空洞になった縦長の構造物が背景にあって、これがゆっくり動いたり回転したりしつつ、11名のダンサーは時にスリリングに時に優雅に身体を絡ませあって、それらはものすごく複雑だったり緻密だったりアクロバティックだったりしているわけでもなく、これのなにがそんなに胸躍らせてくれるのか、まだ十分にわかっていないのだが、とにかく見ていてなんか気持ちよくてかっこいいのね。
“Yugen”ていうのは日本語の「幽玄」なのか「有限」なのかそれともぜんぜん関係ないなんかなのか、プログラムの冊子をざっと見た限りではあんまよくわかんなくて、なんとなく「幽玄」、ならありかも、と思わないでもないのだが、実際の動きはシャープで目を離すことができないかんじなのだった。
The Age of Anxiety
振付はLiam Scarlett。 39分。
“The Age of Anxiety”はW.H.Audenが1948年に発表した詩で、彼はこれでピュリッツァー賞を受賞している。 1939年、米国に移住した彼は18歳のChester Kallmanと出会って一緒に暮らしつつ、ポーランド侵攻や大戦に向かっていくどんよりした空気をNew Yorkから綴った"September 1, 1939"を書いているが、その流れのなか1944年に書き始めたのがこの詩で、Bernsteinはこれを受けて”Symphony No. 2 for Piano and Orchestra” (1948-49)を作った。バレエではこの曲をベースにJerome Robbins が1950年に、John Neumelerが1991年に作品を発表している。
場面は3幕構成で、NYのバー、アパートの一室、夜明けの路上があり、バーで飲んで騒いで、そのうち誰かのアパートに流れて引き続きはしゃいで、夜が明けて一日が始まっちゃうけどだいじょうぶ? .. よね、みたいな展開。ダンサーは7名。それぞれバレエのコスチュームではなくてバーテンダーだったら会社員だったり、舞台セットも含めて演劇的要素を持っていて飽きないし、たぶんもっともBernsteinの一般的イメージに近いやつだったと思うのだが、バレエとしてどうかというのは別のはなしで、“The Age of Anxiety”というテーマがやや空回りしていたのは残念だったかも。
Corybantic Games
振付はChristopher Wheeldon。33分。音楽は”The Serenade, after Plato: Symposium” (1954)。
それぞれが短めの全5幕構成で、延べ26名のダンサーがせわしなく出たり入ったりしつつプラトンの饗宴みたいな - 人々がわらわら好き勝手に言いあって統制がとれないような - イメージを作り出している、と言えばそうなのかも。 コスチュームはテープをぐるぐる巻きつけたようなタイトなやつで、動きのかんじはMerce Cunninghamの群舞のそれに似ていないこともない。一番従来のBernsteinのモダーンのイメージを踏襲しているふうで、このへんて難しいんだろうなー、て思った。
というわけで、順位つけるとしたら、1 > 3 > 2 か。 でも振り返りイベントとしてはとてもよかったかも。
4.09.2018
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