4.05.2018

[film] The Square (2017)

25日の日曜日の午後、BloomsburyのCurzonでみました。 
邦題は『ザ・スクエア 思いやりの聖域』… くだんない都市計画のネーミングみたいだ。

2017年のカンヌのパルム・ドールを獲ったやつで、昨年からちょこちょこイベントとかで上映はされていたのだが、ようやく正式に公開された。

監督はRuben Östlund - “Force Majeure” (2014) - 『フレンチアルプスで起きたこと』の人で、あの映画にあったのと同じような小心男のひやひや底なし地獄がみっちりと展開される。

ストックホルムの宮殿跡にできたX-Royal Art MuseumのキュレーターであるChristian (Claes Bang)がいて、アメリカのジャーナリストのAnne (Elisabeth Moss) - なんも考えていないふう - に展示されているモダンアートの概念とかを説明しようとしてがんばったりしている。 そんな彼が通勤途中の舗道で携帯と財布をすられて、そのやり口が巧妙だったので結構あたまきて、同僚の助けも借りて携帯の場所はトラックできたから、じゃあそこのアパートの一戸一戸のポストに返しなさいって紙を配ってやれ、ってやってみたところ、携帯も財布も無事に戻ってきたのだが、それを拾って取っておいた子供は親から泥棒扱いされて怒られたどうしてくれる謝れって突っかかってくるのでうんざりぐったりする。

美術館の次の展示の目玉が南米の女性アーティストによる*The Square*で、ただの路面を四角で囲っただけの空間なのだが、これには指示書きが付いていて、"The Square is a sanctuary of trust and caring. Within it we all share equal rights and obligations.”ていうの。ここが邦題の「思いやりの聖域」の元なんだろうけど、これ、日本的な文脈で使われる「思いやり」とはぜんぜん別のもんだってわかんないのかしら?

で、これのプロモーションのために呼んだ代理店のバカ者たちがそのコンセプトを曲解して面白半分で作ったネガティヴ動画がネットで大炎上してメディアから叩かれたり、別の演し物の半裸の猿男パフォーマンスは猿男が芯までただの猿まるだしだったので大惨事になったり、ろくなことが続かなくて、携帯の件とかで結構消耗しているChristianにはとにかく勘弁していいかげんにして、になるの。

ここで美術館が展示しようとしているモダンアートだかコンセプチュアルアートだかって、ぜんぜんモダンでもなんでもない50 - 60年前からあるもんだし、それを受ける社会のありようが大昔とはぜんぜん変わっちゃっているところに、そもそもそんなの必要なかったキュレーターだの代理店だのを貼りつけるもんだから事態がよじれるのなんて火を見るより明らかなのにそんなこともわかんないのかこのキュレーターは、とかいろいろあるのだが、Christianの周辺にいるのも適度なろくでなしばっかしなので、ものすごくちっちゃくて狭苦しい修羅場がせめぎあうばかりでううう、ってなって、これらって普段の身近に結構転がっているやつな気もして、なんだろうなこれ、って思った。

そういう場所に来てから改めて*The Square*を振り返ってみると、その何事もなかったかのようにしれっと置いてある超然としたさまにバカにすんじゃねえよ、てなったりもするのだが、それってアートのせいなのか映画のせいなのか。

なんか底を流れるどこまでも底意地悪いかんじとか、どんよりの気持ち悪さ、ヒステリックに擦れていくかんじとか、こないだの*Loveless* (2017)にも*The Killing of a Sacred Deer* (2017)にもあった気がして、なんなのかしらこれ、って。

眠くはなんないし、つまんなくはないと思うけど、150分はないよねえ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。