4.23.2018

[art] Joseph Cornell, 他

15日の日曜日、NYで見た美術館のあれこれをまとめて。 Madridのをまだ書いていないのに。
細かい企画展まで書いたり調べたりしていったらきりないので、印象だけをざーっと。

とにかく前日の20℃台の陽気は完全にどっかに消えて、寒くてしょうもなくて、そういう中、まずはMetropolitanの10時オープンを待つ。後が詰まっているのでつんのめるかんじで。

The Poetry of Nature: Edo Paintings from the Fishbein-Bender Collection

いつも挨拶するみたいにただ駆け抜けるだけのここの日本美術コーナー。朝いちだとだーれもいない。自然のなかに詩を見ることが得意で(たぶん..)そういう作品がいっぱい生まれた江戸時代の絵画名品集。酒井抱一の月と葛の枝、応挙の鹿2頭、森狙仙の烏骨鶏とか鹿とか、若冲の亀とか。テーマとは関係なさそうだった襖に描かれた丸っこいわんこにやられる。

Birds of a Feather: Joseph Cornell's Homage to Juan Gris

53年、ミッドタウンの画廊でJuan Grisのコラージュ作品”The Man at the Café” (1914)を見て刺激を受けたJoseph Cornellはコラージュ箱の連作を作り始めて、この展示では元となったGrisの作品とCornellの箱のバージョンとかパーツとかを纏めて並べている。 Grisの作品はカフェで新聞を読む帽子を被った男(怪盗Fantômasらしい)のシルエットが多層に塗りこめられているようで、これのなにがどうなってCornellだと白頭のオウムの箱にトランスフォームしちゃうのか不思議なのだが、こういうふうに導火線を伝ってイメージの連鎖を引き起こしていくのがGrisでありCornellなのよね、と改めて思った。 おもしろすぎたのでカタログ買った。

Before/On/After: William Wegman and California Conceptualism

Video作品中心だったので通り過ぎただけ。ワイマラナー(わんこ)写真で有名なWilliam Wegman が70年代の南カリフォルニアでやっていたコンセプチュアルアート群をざっと紹介したもの。すでに彼の最初のワイマラナー “Man Ray”が参加している。他に同時期・同地域のEd Ruschaの作品とかも。コンセプチュアルだけど、それでもやっぱり西海岸、てかんじはするねえ。

William Eggleston: Los Alamos

Wegman展示の反対側でEgglestonの展示。William Egglestonの初期(1965 〜 1974)のカラー作品 - 彼の最初のカラー写真も含む – を並べたもの。彼がずっとテーマにしてきた米国南部の空気感や陰影が鮮やかに活写されていて、こういう光線を捕まえること、それを写真としてこういう会場に光ごと持ちこむことのすごさを思った。 Big Starのジャケット写真はなかったが、Alex Chiltonの最初のソロのジャケット写真(の元)は展示されていた。

Public Parks, Private Gardens: Paris to Provence features

フランス、パリの19世紀、後に印象派として括られることになる画家たちがアトリエから出て屋外で書き始めたことと、人々の暮らしにおける公園や庭園のありようはどんなふうに関わったりしていたのかいなかったのか。「自然」を描く、ということと「公園」や「庭園」の(物理的なというよりは概念的な)発達はどこかで切ってもきれない関係にあった気がしているので、とても面白かった。登場する画家たちときたら、Camille Corot, Théodore Rousseau, Monet, Morisot, Atget, Camille Pissarro, Renoir, Manet, Henri Fantin-Latour, Gogh, Degas, Matisse, Cézanne,   Édouard Vuillard, Pierre Bonnard, Delacroix などなど… 結局ぜんぶかよ! みたいなかんじで、こんなのを館内の所蔵品だけでできちゃう、というあたりを自慢したい、ていうのもあるのだろうな。

Thomas Cole's Journey: Atlantic crossing

米国の風景画家  - Thomas Cole (英国からの移民だったのね)が大西洋を渡って英国やイタリアを旅していろいろ学んで200年、を記念した展示。英国 - イタリアに渡って彼が見た各地の美術作品とそれが彼の作品にどういう影響を与えていったのかをわかるようにしてあって、おもしろい。うんと乱暴に言ってしまえば、遺跡とか歴史的なモニュメントみたいのをほぼ持たない米国が、例えばJohn Martinの幻視、J.M.W. Turnerの陰影、John Constableの廃墟、みたいのに触れたとき、自分が向き合うこの風景をどんなふうにしたい/できる、と思ったのか、ていう辺りがきちんとわかる内容で、カタログほしくなったけど、我慢した。
あと、“Visitors to Versailles”の展示はまだメンバー限定だったので見れず。
BalthusのThereseはまだ夢を見ていた。

ここまででだいたい1時間強。ここに来るといつも走り回っているなあ、走り回るのを20年以上やってて、全館をゆったり落ち着いて見たことってないかも、って気づいた。

ここでいったん切ります。

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