1.22.2017

[play] 地点「ロミオとジュリエット」

20日の金曜日の晩に早稲田の大隈講堂でみました。
これまでの人生で早稲田といったら早稲田松竹のことで、それくらいこの大学の文化圏とか臭気とかから距離を置いてきたのだったが、それがついに。 それがどうした。

今年はシェイクスピアに取り組みたい、となんとなく思っている、というのもある。

ステージ前方に向かってけっこうな角度で傾斜しているでっかい板 - つるつる滑る があって、そのてっぺんにお立ち台のような見張り台のような証言台のようなひとり分の手すり付きのスペースがあって、板の外側の右端にギター、左端にベース、真ん中奥の板に隠れて半分見えないとこにドラムス、この3点を結んでがりがりやかましく鳴り続けるのが空間現代の音。

同じグレイと白のだんだら模様のフェルト地の服を着たのが6人(含.ロミオとジュリエット)、死んでいるのか眠っているのか板の上でごろごろ、お立ち台には異なる模様 - チェックのスカートの女性が立っていて、がたがたざくざく刻まれるベースの上で拍子を取りつつ時折雷のようにばりばり落ちるドラムスとギター、その落雷に合わせて6人の各自は素っ頓狂な声、都々逸に呪文に祈祷みたいな言葉を撒き散らし、お立ち台の女性はそれらを見下ろしつつ株の仲買人のように競りの胴元のように合いの手を入れてくる。

ギターとベースとドラムスの三角形(の音)、舞台とステージ板が形作る三角形(留まることのできない、転げ落ちるしかない世界)、神父(複数)とロミジュリと仲買人の三角形(三角の関係)、基本はこれら様々な三角形の織りなす鋭角の世界をなぞって語って尋常ではないテンションで掛け合い、駆け抜ける約70分。

本来の物語の前後関係はあまり関係ないようで、ロミオとジュリエットの出会いから死までは既に起こってしまったこととして墓場の奥までも暴かれて、その忘却の彼方からの「あなたは誰でしたっけ?  いまは月曜日でしたっけ水曜日でしたっけ? ここはどこでしたっけ?」のような問い、自問自答がが何度でも蘇るゾンビのように反復されて、そのなかで彼らの恋も何事もなかったかのように何度でも蘇って、何度でも死んだふりして、殺して、死んで、死んで、元に戻る。 そこにはモンタギュー家もロミオもくそもない、重力と共にだらしなく転がり落ちるヒトの肉しかなくて、でもだからこそそんなやつと恋におちて坂の上できゃあきゃあ飛んで跳ねて狂い咲きの大騒ぎをする。

悲劇にも喜劇にもなりうる、ロミオはロミオであって、ロミオでなかったかもしれない、手紙が届かなかったのも死体が転がっているのも、単なるラベルの貼り違いかもしれない、だいたい神も神父も群れててきとーなこと言っているばかりのろくでなしの役立たずだし、昼も夜もびゅんびゅん過ぎ去っていくし、うんきっとそうだ、だってあたしはこんなに恋してるんだし弾んでいるんだし、だから何度だって死んでみせるわ。  どんなもんだい! 

いや、ありがとう、ごきげんよう、おやすみなさい。

問答無用。あんぐり。すんばらしいったら。

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