12月25日、日曜日の午後、新宿でみました。
“Stonewall riots”と呼ばれるNYのGreenwich VillageにあったStonewall Innで69年に起こったゲイ達による暴動 - 後のゲイ解放やLBGT運動の突端となったこの出来事を題材にしたフィクションもの。
インディアナに暮らす高校生のDanny (Jeremy Irvine)はアメフトも勉強もできた優等生だったのに幼馴染の彼とキスしているところを見られて噂が広まり、家族からも疎まれて - まだ同性愛は心の病と思われていた時代 - NYのChristopher Stに流れてくる。そこには小汚いはぐれ者っぽい若者たちがいっぱい群れて暮らしていて最初は戸惑うのだが、だんだん彼らのなかに馴染んでいって自分の場所を見つけられた気がしていて、他にもいろんなよい大人わるい大人たちと出会って擦られて磨かれてなにかを掴んでいく、物語はそんな彼の成長を軸に進んでいくの。
Stonewall InnはDannyがゲイ解放運動を非暴力で進めていたマタシン協会のTrevor (Jonathan Rhys Meyers)と出会って恋仲になる場所で、もちろん6月28日の暴動の際もDannyはそこにいるわけだが、彼がどういう経緯を経てあの発火点にいることになったのか、のあたりはちょっと弱いかも。
この騒動は当時の警察とマフィアの癒着とか市長選の趨勢とかJudy Garlandの死とか日頃裏で表で彼らが受けていた迫害とか複数の伏線があったこともあり、池田屋騒動みたいに状況見解や説明がそれぞれの当事者の側で適度に異なっているのでいろんな伝説や異聞が生まれがちで、要するにそれぞれの立場の人たちが自分たちの都合良いふうに語ることができてしまう。良くも悪くも。
だから、このフィクションを見るわれわれが期待するのは、暴力を嫌って人生を楽しむ(はずの)ゲイの人たちをあそこまでの憤怒の、怒涛の暴力や破壊行為に追い詰め追い込んでいった導火線とその起爆装置、そこに手を振りおろした(させた)エモの奔流、それらをどんなふうに表現するか、にあったはずなのだし、そこにはものすごいいろんな可能性やバリエーションがあったはず、なのだが。
そこがねえ、Dannyの成長物語、としてしまったが故になんかすっきりしない、ボヤけたものになってしまった。 別にきちんと説明されなくてもいいんだけど、なんかあんま納得いかないかんじなの。
例えば、John Cameron Mitchellとか、例えば、Gus Van Santが”Elephant” (2003)で描いたようなやり方もあったはずだし。
やっぱりRoland Emmerichではなあ、ていうのはあるかも。
でも俳優の皆さんはみんな本当に一生懸命に映画のなかに入っていて、そこはよかった。
Dannyの妹(Joey King)とのエピソードとかも。
前の会社にいた、もうリタイアしたゲイのおじいちゃん(Village在住、Judy狂)にもし再び会うことがあったらStonewallのことをちゃんと聞いておかなきゃ、と改めて思った。
あと、邦題は変にいじられなくてよかった。”Suffragette” (2015)みたいなことをされたら(未だに劇場で予告がかかるたびにムカついている)ほんとに暴動を起こしたろか、になるとこだったわ。
1.08.2017
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