1.18.2017

[film] 子宝騒動 (1935)

7日土曜日の午前、初笑いとかしてないねえ、ということで新文芸坐の『絶対に観てほしい喜劇〈コメディ〉 初笑い29本』から2本みました。 池袋というのは自分にとっては完全に圏外で、文芸坐も「新」がついてからは初めて行ったかも。

子宝騒動 (1935)
サイレントで柳下美恵さんのピアノ伴奏つき。
小さいガキが5匹いるお家で、父親はぷうでだらだら呑気に子供と遊んでばかりで、母親のお腹は更に、すでにじゅうぶんでっかくて次が出てきそうで、家計はじゅうぶん困窮してガスも水道も電気もぜんぶ止められてさすがにやばいのでなんとかしてよあんた、と小競り合いをしていると産まれそうになってしまったのでとにかく産婆を呼びにいってみたら産婆もお代滞納で断られて(彼女はお金持ちのうちに入って行ってそこで豚のお産なんかをやってる)、父親とガキ共はお金と産婆を探して母ちゃんの時限爆弾をめぐる大騒ぎになっていくの。
火事の家で助けを求める子供を救ってお礼を貰ってもすぐ燃やしちゃったり、終わりのほうでは大家も家賃は許してやるか、になるのだが、最後は逃げたお豚さま - 懸賞金つき - を巡って田んぼの中での大捕物になる。

なにをどうがんばってもうまくいかずしっちゃかめっちゃかに暴走していく(でも涼しい顔の)スラップスティックで、こういうのに弾んで弾けて併走していくピアノの鍵はほんとにしっくりはまる。 これ以外の表現形式ってそうはないよね、くらいに。
もちろん最後はなんとかどうにかなって、子供も産まれるし仕事もみつかるしめでたしめでたし、なのだが、でも田んぼの泥のなかを寄ってたかって延々追い回された子豚さんがちょっとかわいそうだった。そこだけ。
最初のタイトルは「産児無制限」だったんだって。 産めよ増やせよの時代でした、と...

吃七捕物帖 一番手柄 (1951)

江戸時代、そこらの川で金を掬っている人たちがいて(つまり金がどこかから流れてくる、と)、吃り(でもお酒飲むとなおる)の目明し又七(高田浩吉)がいて、彼の家を訪ねてきた両替屋の娘が何かを告げようとしていたのに殺されてしまう。いろいろ怪しいところがあって又七自身も殺害の容疑者として疑われたりしていると第二の殺しが起こり、ていう真面目な推理ものの要素と悪組織追い詰めの要素と又七の女房のやきもちとか、両替屋の娘と丁稚の恋とか、又七の女房の父親探しとか人情ものの要素もあって、最後にはキリシタン屋敷での贋金作りの一味との大戦争みたいになっていって、あんま時代劇のかんじもしない豪快てんこもりの一本だった。 でもようく考えてみればものすごく、ありえないくらい軽くいいかげんなかんじなのだった。 いいけど。

こうして初笑いはへらへら、って終わって、厄介ごとのまんなかに再び潜る。

それにしても、何度でも書くけど久々の池袋、かつてととても違ってみえた。なんかハーレム(125th st以北)みたいだったかも。

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