14日の土曜日、日仏(もうちがうって何度ゆったら..)の第18回カイエ・デュ・シネマ週間 、で見ました。 『少女と川』 65分。英語字幕。
ぜんぜん知っている作家ではないし注目の度合いもしらんし、由来もストーリーもよくわかんない状態で見るこういう映画、ほんとにいいの。 日本でこういうふうに映画に出会う機会て、あんましないよね。
Samuel (Guillaume Allardi)が朝の森を散歩していると崖の上で思いつめた顔で飛び降りそうになっている女性 - Nouk (Sabrina Seyvecou)を見つけて引き留める。(それはいいんだけど、崖の上にあったでっかい熊の石像ふたつはなに? すごい気になった) で、ふたりは仲良くなって結婚するのだが、やがてあたりまえのように亀裂ができて溝になって、ふたりで自転車で出かけたときも彼がひとりで先に走っていっちゃって、まったくもう、て思ったとたん、目の前で彼は事故起こして死んじゃうの。
彼の魂は黒い川面を抜けてどこかのビルのオフィスのようなところにいて、そこはルビッチの「天国は待ってくれる」の地獄の受付みたいで、そこのひとに聞いてみると、ごめんタイプミスして間違ったみたい、とか言われて目を合わせてくれない。 他方、残されたNoukのほうは彼を失ったショックから立ち直れなくて精神療法のグループに通ったり、どこか彼が亡くなった気がしなくてずっとなにかを待っている。
彼のいるところではずっと男の人と女の人が分厚い紙の束にタイプされた名前を順番に読みあげている。男が読みあげるのは死んでゆく人の名前、女が読みあげるのは生まれてくる人の名前。 彼の名前はどっちで読まれるのか。 彼と彼女はふたたび出会うことができるのか。
天上にあるのか川の下にあるのか、のSamuelのいる世界とNoukのいる世界を安易に繋いだり結んだりせず、かつて互いの手を絡ませたふたりの間に絆とか奇跡とかを持ちこまず、それでも川は流れるんだから、と。 そんな適度な冷たさが素敵だった。
あっちに行ってしまったSamuelとNoukの橋渡しとして現れるのがSerge Bozonなの。“La France” (2007) の監督さんで、この映画、戦場のどこかに消えてしまった夫を探して妻が男装して兵士になって歩兵隊に加わるお話しで、なんか近かったかも。 これもすてきな映画だったねえ。
3.21.2015
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