12.28.2013

[film] The Bling Ring (2013)

21日の土曜日、髪切ってから新宿で見ました。

前作の"Somewhere"で、Sofia Coppolaの映画はもう見なくてもいいや、なかんじになっていたのだが、みんななんとなく話題にしているみたいだし、最近の若者はどんなだろうか… 程度で。

"Marie Antoinette" (2006)に続く実録モノ、 "The Virgin Suicides" (1999)に続く道を外してしまった若者群像モノ、ということでよいのかどうか。

西海岸のごく普通の、それなりにきちんとした家庭で育ったと思われる若者たち5人(だった?)が夜中、お散歩感覚でいろんなセレブのおうちに忍びこんで金銀財宝洋服靴鞄などなどをかっさらってみんなに自慢したり売り捌いたりしたあげくお縄になって裁判になって、けろけろ、ていうの。 それだけなの。

なんで彼らが? でも、彼らの将来は? でも、病めるなにか腐ったなにか切羽詰まったなにか、を引っぱりだしてくるのでもなく、告発も卑下もなく、フラッシュバックされる時々のスナップやニュース映像をはさみつつ、こんなことが ありましたとさ、というふうにぺったりさらっと、いっぽんのPVみたい、動物の挙動をのぞくみたいに描く。 彼らがなにを考えているのか全くわからないし、そんなのわからなくてもよいのだ、という造りになっている。

夜の犯罪の映画なのに、ノワールのかんじはゼロ、女の子が中心にいる窃盗団なのにファムフ・ァタール臭もゼロ。 さいきんのファッション誌の「~っぽく」の薄い誌面をぱらぱらしていくかんじ。
それはそれでてえしたもんじゃねえか、と言いたいひとは言うのかもしれない。

「ほんとうのあたしはこんなもんじゃないんだから」というのが最後のほう、釈放されたひとりの女の子がマイクの前でしれっと言うことで、ほんとうのあたしは、ほんとうのあたしがいる場所は、ほんとうのあたしがいる時代は、というのがSofia Coppolaがえんえん映画を通して言い続けていることのように思えて、でもそれ言ったからってどうなるもんでもないじゃん(だってそういうもんだから)、ていうのと、でもそんなことだれも言ったことないよね(だってそういうもんだから)、というのが投げやりがちに反響して、いつものように金持ちサークルでちやほやされてろおばさん、になってしまうのだった。

これが最後の作品となってしまった撮影のHarris Savidesさんに捧げられている。 秋口に彼の追悼特集がMOMAで組まれていて、こっちのほうは見たかったねえ。

音楽は冒頭のSleigh Bellsの鳴り方が見事だったのと、窃盗現場で流れるCANの"Halleluwah"、くらい。 あとはわかんなかった。 わかんなくていいも。

こういうのをデートで見たカップルって、この後どんな会話をするのかしら。
これもわかんなくていいけど。

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