米国に来る前に見ておいたやつを少しだけ。
3/9の夕方、ワイズマンの『パナマ運河地帯』の後、六本木で見ました。
公開されたばかり(だよね?)なのに、客席があまり埋まっていなかったのが気になった。
すばらしくよいのに。 同じディズニーの3Dで比較されている"Alice in Wonderland" (2010) よりも断然よいのに。
オープニングシークエンスのぐるぐるから、モノクロ、スタンダードの芝居小屋の描写がまずすごくすてきで、そこから竜巻でぐるぐるにされるところの音響(特大の洗濯機みたいにすごい)で痺れて、カラー、シネスコの魔法の国も、ぜんぶよいかんじ。 口八丁手八丁で適当にのほほんと生きてきた見世物小屋の魔術師Oscar (Oz)が、魔法の国に飛ばされて、そこで出会った魔女たちに翻弄されて乗せられて、世を救う偉大な魔法使いとして正義のために戦うはめになる - というお話し。
Sam RaimiのSpider-Manがクモの糸に絡みとられる、というのを基本モチーフにしていたのと同じように、ぐるぐる(の竜巻とか、えせトリック)で幻惑される、というのがベースとしてあって、それが見世物小屋から始まった映画という魔法(はったり)、更には3Dの魔法にうまくリンクしている。
映画は足を折られて泣いていたひとりぼっちの少女を救って、すばらしい仲間を呼びこんで、魔女達の施いた恐怖政治から人々を解放する魔術なんだよ。
そして、これもSpider-Manのテーマと近いのだが、Ozが自身の偉大さ(Greatness)を自覚し、そうなるように仕向けるのは、まずOz自身なのだ、ということ(Spider-Manの1作目の最後のPeter Parkerの独白のところ参照)とか、それと、恐ろしい魔女は、最初から魔女だったわけではなくて、それなりのかわいそうな事情とか逃れられない業があるのだ、というとことか。
つまり、ヒーローたる宿命を担ったものが非現実的な世界で活躍する、そういうお話しではなくて、すべてはどっちに転ぶかわからない危ういトリックの線上で最後まで揺れてて、しかもそれは不思議の国に流れてくる前からぜんぶ繋がっていたのだ、という。 それを決意に変えたのは魔術で治せるわけがなかった車椅子の少女と、足を折られてしまってしくしく泣いていたChina Girlだった。 ある意味ではとってもクラシック、ではあるのだが。
James Francoは、詐欺師になりきれない人の善さとその反動としての強がりとほんとのところは繊細で気が小さいとこを併せもつ、Ozの全てにおいて微妙で半端な逡巡を実に巧く演じている。 そして3人の魔女- Mila Kunis, Rachel Weisz, Michelle Williams - すごく好きな女優さんが一同に - もそれぞれに色があって、実際に色で呼ばれるのだが - それぞれとても魅力的なの。 あれならだれにやられたっていい。
次はいよいよ、Dorothyがやってくるはずだわ。 でも難易度高いよねえ。 Judyだからねえ。
3.17.2013
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