4.22.2012

[theater] Death of a Salesman - Apr. 18

水曜日の晩に見ました。これと、木曜日のライブは出る前にチケット取っておいた。

演劇もミュージカルもあんまし見ないのだが(際限ないから。お金もないし)、これは別かも、と。
ブロードウェイで演劇を見たのは2003年の"Long Day's Journey Into Night"以来、ということになる。 場所はEthel Barrymore Theatre。 がちがちにSold Outしてた。

"Long Day's…" にもPhilip Seymour Hoffmanは出ていて、この舞台で彼の父親を演じていたBrian Dennehyは99年の"Death of a Salesman"(Robert Falls演出、初演から50周年記念公演)でWillyを演じている。

ブロードウェイの上演としては、1949年の初演(演出はElia Kazan)から数えて4回目のもの。
今回のは、演出がMike Nichols、WillyがPhilip Seymour Hoffman、BiffがAndrew Garfieldで、これだけでも見なくては、というかんじにはなる。
そして、戦後の倦怠と徒労が見え始めた時期のアメリカの家族を描いたこのドラマが、いま必要とされている、ということも十分にわかる。(音楽は初演時のAlex Northのものを、セットデザインも同様にJo Mielzinerのものを再現している)

Willyの最期の二日間に彼の頭に去来したあれこれと家族とのやりとり、それを通してアメリカの、アメリカの仕事や家族のありようの凋落に向かう約30年間を、描く。もちろん、すごくダークで重くて、やりきれなくなる。
なんでこんなに辛いのか、なんで思ったとおりにいかないのか、わかってくれないのか、わかりあえないのか、幸せになれないのか、誰も、なにも悪くないのに。 といった悶々、延々とつづく問いのぶつかり合い、ぶつけ合いの果てに、それでも浮かびあがってくる夫婦の愛、父子の愛。 
でも、それでも彼は死んでしまうだろう。あまりぱっとしなかったセールスマンとして。 成功を、尊敬される父親を夢見て前へ前へと進んできたセールスマンのなれの果てとして。

いま、我々はみんな、我々の99%がそんなセールスマンとして生きなければいけないこと(なんでだ?)をはっきりと知っているの。(→ Occupy !)

そして、Philip Seymour Hoffmanという役者が、そういう激昂と煩悶、逡巡と自棄とをそのむっちりした体型とちょっとした目の動きだけで体現できるひとであることは、映画のスクリーンだけでも十分わかる。
生PSHを見るのはこれが4回め。  最初のは2003年、BAMのイベントで"Punch-Drunk Love"のあとにPTAと一緒のトークがあったの。ぐいぐいしゃべりまくるPTAの横でぶかぶかの短パンをはいてこたつ猫みたいにもじもじしながら、たまに下向いて"Fuck…" とか呟くPSHはとってもチャーミングだった。  2回目が"Long Days …"で、3回目は2010年、Jonas MekasとKenneth Angerにお金をあげるイベントのゲストで出てきて、にこにこ笑いながら寄付を強要する素敵な役だった。
要するに、スクリーン上の彼もすばらしいが、生も本当に見事で、今回のはとくに飛び抜けていたと思う。

一幕の終わり、台所でガスパイプを発見して呆然とするBiffの横でひっそりと寄り添うWillyとLinda(ここは原作とちょっと違うね)とか、二幕の終わりのほうの修羅場で荒れ狂うBiffの頭をWillyの白くてふっくらした腕が包んでしまうとこが、ほんとにいかった。

これがブロードウェイデビューとなるAndrew Garfieldくんも勢いで突っ走っていて(でもちゃんとコントロールはできていて)素晴らしい。よい役者さんに育っていくことでせう。

全体にじとーっと暗い作品と思っていたのだが、ところどころヒステリックに笑えてしまうとこもあり、でもその直後に急落下、という緩急の激しく、畳み掛ける勢いで流れていく演出、でもラストはみんなずるずるに泣いてしまうのだった。

終って外に出たらすんごく冷たい雨が降っていたので続けて映画を見るのはやめたの。

 

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