9.22.2011

[music] Brian Wilson - Sept 18

日曜日の続き。
おなじくSouthbank内のRoyal Festival Hallでの、UK公演3日間の最終日(ヨーロッパツアーのまんなかあたり)。 ほんとは到着した日に行こうと思っていたんだが、さすがにしんでてむりでした。

Brian Wilsonは、NYのBB KingでPet Soundsをみて聴いてて(2002年)、おなじくNYのCarnegie HallでSmileをみて聴いてて(2004年)、今回のは、こないだ出た”Brian Wilson Reimagines Gershwin”(まだ聴いていない)をフォローしたもの。

開演は前座なしで7:30きっかり。 バンドは、Brianをのぞいて、でるわでるわの14名。
ストリングスが5人。 ドラムスにパーカッション、ギター2、B、管、Key2、そして、Jeffrey Foskettさん。

最初にオーケストレーションで、"Heros and Villans"とGershwinメロの雑種みたいなやつ - こういうことなんですよ(ネタばらし)みたいなイントロを。 そこから新譜を順に追っていく(たぶん)構成。

音はどこまでも分厚く、でも軽快なBrianの、でもメロは誰もがどこかで聴いたことがあるはずのGershwinで、それはいつもの、どこかで聴いたことがあるはずのBeach Boysとおなじかんじで、どっちがどっちと問うことにさほど意味があるとは思えないし、めんどうなのでアメリカの20世紀の音、とぶちあげてもびくともしない、そういう黄金の音。  
たとえば、正真正銘のアメリカのポップスを、と言われたらこの音を聴かせてあげればいい。

ここで演奏された"It Ain't Necessarily So"とか”I've Got a Crush on You”とかのはんぱない軽さと正体不明のなかみのなさと突き上げてくる、こみあげてくる感傷のような陶酔のような。 
あまりにすばらしすぎて泣きそうになる。

BrianもGershwinも、どっちも不動の、完璧な作曲家だと思ったことはあまりなくて。
それは舌に乗せたら一瞬で溶けて消えてしまう魔法のスイーツで、消えてしまうからもっと食べたいと思うのか、もっと食べたいと思うから消えてしまうのか、ほんの少しジャンキーでドラッギーで、でも、だから、もっと食べたい、ちょうだい、と脳がいう。 だからおてあげ。

45分、ほぼノンストップで走りぬけて、20分間の休憩。
なんでかみんな売店にアイスクリームを買いに走る。(ここのはおいしいんだけど)

第2部、”California Girls”のイントロがふわふわ鳴りだして、それに乗って熊みたいにのっそりつーっとBrianが出てきて、あとはずうっとがんがんのヒットパレード。

ストリングスは基本はひっこんでて、途中の"Surfer Moon"とおわりのほうのPet Sounds ~ Smileのあたりで入ってくる程度。

Pet SoundsとSmileに関していうと、今回のライブのこの編成が、いちばんオリジナルに近い鳴り方をしているように思えた。 "Wouldn't It be nice"のゆったりたのしく馬車が加速していくかんじ、"God Only Knows"の星空がふわっと降ってくると思ったら自分が空に昇っているのだった、ような感覚。 
そして改めて、すごく変で、変なのにきゅんとなるところが不気味で、しみじみ変な音楽だわとおもった。

Pet Soundsのとこでやった"Pet Sounds"がどんなに変てこなものに聴こえたか、うまく説明できない。 夜中に子供とかに聴かせたら、ぜったい泣くとおもうよあれ。

最初のアンコールは、"Johnny B Good"から、”Fun Fun Fun”までてけてけの5曲。
続いてのアンコールは、みんなでしんみり"Love and Mercy"。 はいはい。

終わったら10時を軽くまわっていたので、後半だけで1時間半やってた、と。

しかし、Gershwinを真正面から、堂々と乗っ取ることに成功してしまった先生は、これからどうするんだろう、次になにやるんだろう、と少しだけ心配になってしまった。

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