2.16.2011

[film] Holiday (1938)

月曜日はValentine's Dayで、日本ではチョコの日、ということになっているようだが、言うまでもなく、ほんとは恋人同士がロマンチックに過ごすことができればそれでええやないか(←誰?)、と、そういう日なのです。

で、かのすんばらしいBAM Cinematekは、いつもこの日になるとクラシックなラブコメと同じ建物内にあるレストランのDinnerを合わせたパッケージを出したりするの。 もちろん、映画見るだけでもいい。

これまでだと、Howard Hawksの"Ball of Fire" (1941) - 『教授と美女』 とかね。粋でしょ。

で、今年は、George Cukorの"Holiday" (1938) - 『素晴らしき休日』 をぶつけてきた。
ほんとにえらいわ。

なのにー、仕事の会食が入ったの。 ありえない。 断固阻止。 でも病気ネタはこないだ使っちゃったしな、と途方に暮れつつも念を送っていたらキャンセルになった。 ばんざい。 

上映は6:00の回と8:15の回の2回だけで、8:15の回。
更にすんばらしいことに、でっかいシアターの席が若い男女でほぼ一杯になるんですよ。 
日本ではぜったいありえないよね。

プリントはLibrary of Congress & UCLAのやつ。 
つまりはぴっかぴかの、どんなHD画面だってかなわないしっとりとしたフィルムのオーラを纏った芸術品なの。

Johnny (Cary Grant)がLake Placidで出会って結婚することにしたJulia(Doris Nolan)のおうちに行ったらマンハッタンのすごい豪邸で、父親は資産家で、びっくりするのだがとにかく結婚の許しを得なけりゃいけなくて、そこにはJuliaの姉のLinda(Katharine Hepburn)とか飲んだくれで目がうつろな弟のNedとか、いろんなひとがいて、とにかく婚約披露パーティーとかを通してあれこれ学んで、んで旅立っていくのね。

もともと戯曲だった、というのもあるが、ここにはたくさんの問いかけとか教訓とかがあって。

結婚って、なんのためにするんだろうか、とか
仕事って、なんのためにするんだろうか、とか
休日って、なんのためにあるの、とか
お金って、なんのためにあるの、とか
でもお金持ちだって、いろんなひとがいる、とか
でもでっかい美術館みたいなおうちだって、くつろげる場所はある、とか

つまりは、うんと簡単にいうと、自分はどうやって生きていったらよいのだろうか? というあたりまえの問いが、資産家の娘との婚約、という出来事を通してJohnnyのとこに一挙にがーんとくる。

お金がいっぱいあれば、そんなこと心配する必要ないから、というのがお金持ちの理屈で、いやいやいやそれって順番がちがうし、お金ってそういうもんじゃないし、そんないらないし、てJohnnyはいう。

Johnnyは金持ちサークルの外にいる無垢な青年として描かれていて、その無垢な動作と問いかけはお屋敷のPlay Roomという場所を経由して金持ちサークルの内側の人たちにも投げられて、そのシグナルに敏感に反応したのが、例えばLindaだったのね。

こうやって書いてしまうと深くて重くてめんどうな作品に見えてしまうが、堅くてめんどうなのはJuliaとその父親くらいで、それ以外は極めて軽い。 Johnnyの友人の教授夫妻はすぐに人形劇はじめるし、飲んだくれの弟はすぐに楽器を叩きはじめるし、Lindaは、べらべらべらべらおしゃべりしてJohnnyとソファで一回転して、それで幸せなのね。 

くるん、て宙返りできる運動神経があれば、世の中渡っていけるってもんよ、ていうのがとりあえずのメッセージ... だとおもうよ。

それにしてもKatharine Hepburnのおしゃべりってすごいよね。 スピードといいキレといい半端じゃないし、しかもそれが相手のおしゃべりとの相対として出てくるからカンフーの試合みたいに見えることがある。
そう、これも一種の運動神経で、だから彼女のでてくるラブコメはどれもとってもスリリングでたのしいのね。

終わってからは当然みんな大拍手でしたわ。
アパートに帰ってソファのばったんをやったり宙返りやってみたりした組が4つくらいはあったとおもいたい。


なんとなく、今これのリメイクやるとしたら誰だろ、とかぼんやり思ってて。

Johnnyは、Ashton Kutcher ...
Lindaは、Anne HathawayかKatherine Heigl ...
Juliaは、Amy Adams ...
弟のNedは、Joseph Gordon-Levitt ...
父親は、Jack Nicholson ....

うーん、もうちょっと考えてみる。

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