3日は、正月休みの最後で、今回のNYの最後で、2010年の映画で見逃していたやつを3本。
最初がClaire Denisの"White Material"。
Film Comment誌の最新号の表紙がこの映画のIsabelle Huppertで、その印象がとても強くてずっと消えなくて。
ちなみに同誌のBest Films of 2010はこちら。 いちばんしっくりくる。
内戦が続くアフリカのどこかの国で、コーヒーのプランテーションを営むフランスの女主人(Isabelle Huppert)が逃げているところからはじまる。
そのうち、彼女は逃げているのではなく、家に戻ろうとしていることがわかってくる。
なんで彼女は戻ろうとしているのか、彼女が戻ろうとしている家って何? というお話。
"White Material"ていうのは、彼女の家に盗みにはいった現地の子供達が金塗りのライターを手にとっていう言葉で、要は白人の持ちもの、のこと。
ここにはものすごくいろんな要素があって、アフリカにおける植民地の問題、そこにおける格差と差別の歴史、内戦と暴力の歴史、これらがプランテーションを営む一軒のおうちに集約されて、ある日突然の危機として現れて、つまりそこを出ないと命の保証はできません、というところまで来てしまう。
これまで一緒に働いてくれた従業員も全員いなくなってしまう、夫も家を売る算段を進める、息子はそんな混乱のなかで精神のバランスを崩してしまう。
それでも彼女は断固そこに留まって、ひとを集めて、丁度収穫の時期に来ているコーヒーを摘もうとする。 そこに道義的な理由、人道的な理由があるわけではないし、今コーヒーを摘んだところで売れるわけがない。 死にたいのか、考えてみろ、とみんながいう。
でも彼女は動かない、そこが彼女の家なのだし、白人としてそこに育った彼女に、他に行く場所なんてないから。 という強い意志が彼女の化粧すらしていないすっぴんの、揺るがない目の奥からはっきりと放たれ、それが荒れ放題となったアフリカの地に火を放つ。
とにかく、Isabelle Huppertの力強さが全てで、それはこういうときに女は強いから、というようなときにいう強さではもちろんなくて、Isabelle Huppertのあの目、あの燃えるような髪、あの口がもたらした何かで、なのでこれはアフリカ内戦の映画、というよりは女性映画なのだとおもった。
彼女の夫にChristopher Lambertとか、敗走中の兵士にIsaach De Bankoléとか、他のキャストもすばらし。
あとはアフリカの土地の、その混乱した様子も含めた描写が見事で、例えば『地獄の黙示録』におけるジャングルとおなじような効果をもたらしている。
音楽はtindersticksが枯草の、ざらっとした見事なアンサンブルを聴かせてくれます。
他にラジオからGregory Isaacs(追悼…)の"Night Nurse"が流れる。
パッキングはじめます。 ああめんどうだ。
1.05.2011
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。