日曜日の朝、JFKに着いたときの気温がマイナス7度で、今朝は華氏で6(!)。
えー、華氏で6、というのは摂氏だとマイナス13度? くらい。 ばんざい。 手袋もマフラーも帽子もない。 やってやろうじゃねえか。(なにを?)
飛行機のなかでみた映画は約3.5本。
最初が、"The Town" (2010)。
見なきゃ見なきゃと思っているうちに終わっちゃったから日本で見ようと思っていたやつで、日本公開後にもういっかいちゃんと見て書こう。 同じボストンを舞台にした"Mystic River" (2003)との対比でいろんなことが言えるだろうな、とか。 生まれ育った土地から出ることの難しさ・厳しさ、というのは00年代以降のアメリカでより顕在化してきたテーマ、のような気がする。
画面全体の白々と浅く、乾いたかんじが、"Mystic..."の濃く深い闇と対照的で、あとは父と子、のありようとかそのへん。
あと、Jeremy Rennerがすんごくよい。 "The Hurt Locker"の世界からそのまま来た、といってもおかしくないかんじ。
それから、"The Expendables" (2010)。
いいよねえ。 20年前だったらCannon Filmが製作していたはずなのだが、最近誰もこういうのやろうとしないからSylvester Stalloneがやろう、ってやっちゃったんだよ。 そのせいもあるのだろうが、すごくきまじめできっちりしてて、あんまつっこみようのないとこがちょっとだけ。
"Grown Ups" (2010)に対するアクション映画側からのレス、みたいなとこもあるのかしら。
ないか・・・
でも、最初にキャストみたとき、Jet Li vs. Dolph Lundgrenが見られたら素敵、とか思っていたら、そのとおりにやってくれるとことか、うれしいよね。
続編がありうるのだとしたら、Jean-Claude Van DammeとChuck NorrisとMichael Pareは入れておいてほしい。
あと、いくらオトコのドラマだからって、女優さんがあんましだったので、なんとかしてほしい。
音楽もGeorgia SatellitesにCCRにThin Lizzy。 田舎のパブでがんがんかかっているようなとこが、とってもよいかんじ。
そのあとで、"Kick-Ass"のさいごのどんぱちのとこだけもういっかい。
そのあとで、"The Social Network"をもういっかい。
最初だけ、と思っているうちにまた最後までいった。
このつなぎのおもしろさってなんなんだろ、てずうっと。 あとあの喋りも慣れてきたので、いくつかの確認もふくめて。
それから、"Wall Street: Money Never Sleeps"を1時間くらい。
タイトルは"Wall Street"でも、物語のほとんどは、MidtownからUptownの東側で進む。
要するにそういうローカルな局地戦ではなく、よりグローバルなところに変容したマネーゲームのありようを追っかけた、ということなのだろうが、"The Social Network"を見た直後にこれを見ると、はっきりとひとつ前の時代の物語のもんだよね、ということがわかる。 物語の内容がそう、というのではなく、同じ00年代中盤の、登場人物ぜんいん裏で繋がっててぜんいん共犯、みたいなお話であるにもかかわらず、それを表す表し方として、デジタルCGがびよーん、とかいうのは、もうやめてほしいのよね。
もちろん、そういう「古さ」によってわかりやすく説明される何かがあることはわかるのだが。
でも、そういう「古さ」が、システムから離れたところで安易に放置されていたこんなような「古さ」が、サブプライム問題の根源にあった、という点を前面に出すべきだったのでは。
(最後までみれば出てきたのかもしれないけど)
でも、この映画を「資産になる」(吐)とか思って見にくる、年に1回くらいしか映画館に来ないようなおやじ連中にはそんなのどうでもいいことなの。
そしてこうして、世界は確実に腐っていくのだよ、と。
で、到着した日曜日は、Museum of Moving Imageで、リストアされた"L'Argent" (1928) by Marcel L’Herbier (原作はゾラの『金』)があったのだが、この寒さのなか午後2:00にアストリアに行くのはしんどい気がしたし、サイレント(伴奏あり)で3時間、体力的にふんばれる自信があまりなかったので諦めました。
でもやっぱし、ということで夕方からMOMAのワイマール特集で"The Oyster Princess" (1919)をみました。
監督はErnst Lubitsch。 サイレント(ピアノ演奏 + ボイスオーバー)。
アメリカに牡蠣王(Oyster King)ていうのがいて、牡蠣の殻と類人猿を足したような顔だちのおやじで、召使5人くらいをずっとそばに侍らせてて、豪勢な暮らしをしているの。
その娘(でぶ、仏頂面)がある日新聞で、シュークリーム王(なんの王だそりゃ)の娘が結婚したというのを読んで、そんならあたしも結婚したいんだよう、させろよう、とわめきはじめる。 やけになって部屋中のものをぶち壊していくのだが、その描写がすごい。
で、たいして娘を愛してるようにも見えない王様は、見合い屋に適当な王子を見つくろってくるように、て依頼して、見合い屋はPrince Nucki(実はぜんぜんPrinceじゃない)ていうのをピックアップして、彼の下宿を訪ねて、牡蠣王のとこに行くように、ていうの。
で、Princeはつるっぱげの友達と住んでて、おもしろそうだからその友達のほうを屋敷に行かせることにして、さて。
アメリカとか、金持ち一般とか、甘やかされて育ったそこの娘とか、結婚とか、そういうのに対する風刺なんかもあるのだろうが、そういうの以前に、全員の動きとか表情とかコトの顛末とか、すべてがなんの説明もいらないくらい変てこでおかしいので、観客全員痺れたように笑ってばかりだった。
ラストは、もちろんめでたしめでたしなのだが、いろいろあったけどよかったね、というよりは、こんなもんでいいんだろ、おもしろけりゃ、的に放り投げてて、その無責任ぶりもすごい。 最後はあきれて拍手するしかないの。
不条理系のギャグとは全く異なる、存在そのものの調子がどこか外れてて、どこにどう行くかそんなの知らねえ系の、こんなコメディが90年前からあったのですよ。
ルビッチが現代に蘇ったら、まちがいなくMonty PythonとかSNLのライターになっているよね、と思った。
こんなかんじで、何回目かの長期滞在がはじまりました。
けど寒いし眠いので、てきとうにやることにいたします。
いま、Conan O'BrienでIron & Wineやってる。 いいなあ。
1.25.2011
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