MOMAを出てからダウンタウンのAngelikaまでおりて、Derek Cianfrance監督による"Blue Valentine"を見る。
別にこのタイミングでどうしても見たい、という理由はそんなになかったのだが、年明けてあんま暗いのって見たくないじゃん、とかそんな程度の。
Angelikaのロビーがひとであんなにごった返しているのを見たのははじめて。
これと"Somewhere"を一緒にやっている、というのが大きいみたい。
ある夫婦(子供あり)の、ほとんど壊れて修復しようのないところまで行ってしまった現在と、出会ったころの幸せだった過去とを交互に容赦なく並べていく。
なんの説明もなしに時制がいったりきたりするので最初は混乱するが、だんだんに溝とか亀裂が、その基に、はじめにあったはずの「愛」が、聖Valentineでもお手上げとなってしまったその矢の行方が、はっきりとかたちを取って現れる。
ふたりを演じたMichelle WilliamsとRyan Goslingがほんとに素晴らしく、ふたりが出会って一目惚れして、街角で歌って踊るシーンがあるの。
(予告篇にもなっているやつ - 映画ではこれのフルバージョンが)
ここだけのために、お金払って見に行く価値あります。
脚本と編集も、おっそろしく時間をかけて丁寧に丁寧に作っている。
嘘がないようなかんじ、というより愛が壊れる、というのはこういうことなのだ、というのを冷徹に、冷静に追って、目の前に突きつけるかんじ。
その意志にも似た力強さは、Cassavetesのそれに近いかも。
"Somewhere"でも流れていた"Smoke Gets In Your Eyes"がこちらでも聞こえてくる(The Plattersバージョン)が、こっちのは断然苦痛が。
音楽担当は、Grizzly Bear。
どちらかというと静かに控えめに、しかし鳴るところでははっきりと強く。
愛ってこういんもんなのよ、とそのどまんなかに真剣に迫ろうとした映画として、"Punch-Drunk Love" (2002)に並ぶもんだとおもいました。
それだけでっかい、近年稀なスケールをもった作品です。
1.03.2011
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