12月22日、木曜日の午後、米国のYouTubeで見ました。
最初、タイトルを聞いたときは、ふつうにClashじゃん(いちおう、Clashの曲は”Armagideon Time”で綴りが異なる)って思ったけどスチールにはAnthony Hopkinsとかが写っていたので違うかー、ってなって、でも映画始まったらすぐにJoe Strummerの声が遠くから聞こえてきたのでうそー、って驚愕した。このまま”Babylon” (1980)みたいにいろんなのが流れてきたらどうする? って胸が躍ったのだがそれはなかった。
最初に1980年、NYのQueensのPublic School 173、と出るので間違いなくあの時代のドラマなんだ、とわかる。
1969年生まれの監督James Grayが、自分の少年時代のことを書いた作品なのだそう。
6th grade - 12歳のPaul Graff (Banks Repeta)は、母Esther (Anne Hathaway)と父Irving (Jeremy Strong)と親には従順な兄Tedと母型の祖父Aaron (Anthony Hopkins)と一緒に暮らすユダヤ系の少年で、転校して最初の授業で担任の似顔絵を描いて揶揄ったら黒人の同級生Johnny (Jaylin Webb)と一緒に立たされて、ふたりは仲良くなる。Paulはアーティストになりたいし、JohnnyはNASAに行って宇宙飛行士になりたい、と夢を見て、ふたりでGrandmaster Flashのライブに行くのを楽しみにしている。
Paulの両親はとても教育熱心で、EstherはPTAの役員になろうとしているし、父はユダヤ系として生きることの苦労を背負って漲っているし、祖父はウクライナから難民としてロンドンに流れ、そこから米国にやってきて苦労した一家の過去を語る - ここはおそらく、80%が自分の祖父母からの回想に基づいて書かれたという“The Immigrant” (2013)のお話、にも繋がるのか。
PaulとJohnnyはトイレでマリファナを吸って問題児となって、びっくりした両親は彼を公立校から兄の通う厳格な私立の学校に転校させる。そこでは生徒みんなが大統領選でレーガンを支持していてFred Trump(アレの父ね)やその娘のMaryanne (Jessica Chastain)がスピーチをするような嫌なところ(ぜったい嫌だな)、高慢と偏見に満ち満ちたところで、明らかに人種差別的なふるまいを受けたりして、そのことを公園のベンチで祖父に告げると(すごくよいシーン)、そういうのを目の当たりにして何もしないのはいけない、偏見に立ち向え、戦え、とはっきり教えられて、でもそこから暫くしておじいちゃんは癌で亡くなってしまうの。
Paulの転校によってJohnnyは学校に行かなくなり、身寄りは寝たきりの祖母しかおらず居場所もないのでPaulの家の納屋で寝泊まりしたりしているのだが、学校のPCを盗んで売ったら金になる(この当時のであれば相当..)から、それでマイアミに行って暮らそうぜ、とPaulに持ちかける。で深夜の学校に侵入して盗んだのをお店に持っていったら当然警察がやってきて。
80年代初のNYで中流家庭の少年が暮らす、というのはこういうことだったのだろうな、というのがよくわかる - 特にPaulとJohnnyがグッゲンハイムへの遠足の途中で抜けて、セントラルパークで遊んでColony Recordsに行こうよ! っていう辺り、そしてはしゃいでいたら地下鉄で脅されて怖い思いをする辺りはNYの冒険映画としてたまらないし、ここから更にJames Grayの映画 - “We Own the Night” (2007)や“Two Lovers” (2008)に出てくるNY - 特に夜のNYの美しさを改めて思ったりもする。 “Two Lovers”の夜にそっくりの場面、なかったかしら?
そしてこれは、子供に選択を強いて、戦え! と背中を押す父 - 祖父の話としてもJames Grayの描いてきた話の起源でもあるのだろう。 前作の”Ad Astra” (2019)って、いったい何だったのか? は少しあるけど。
音楽ではClashの他にお兄ちゃんの聞く曲、としてThe Raincoatsの”Fairytale in the Supermarket”も聞こえてきて、この曲、”20th Century Women” (2016)でも家のなかでかかっていたけどそんなに、家でかかるくらいにポピュラーだったのかしら?
それにしても、リアルAnthony Hopkinsの新年のメッセージを聞くと、この映画のおじいちゃんそのままとしか思えなくて、自分もしっかりしないと、って改めて思う。
なぜなら、Armageddon Timeは、いまもはっきりと、あるから。いまがその時なのだ、と。 当時はなんでも幻想です、って言いたがるバカがいっぱいいたけど、いまはなんでも感想でしょっていうクズが大量に…
1.02.2023
[film] Armageddon Time (2022)
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