2.18.2021

[film] Barb and Star Go to Vista Del Mar (2021)

2月12日、金曜日の晩、Curzon Home Cinemaで見ました。
雨ばっかり雪ばっかり低気圧とロックダウンがずっと渦を巻いてでどんよりしているところに南の方からぽっかり湧いてでた、みんながこういうのを見たかったっていうどたばたコメディ。

脚本は”Bridesmaids” (2011)を書いて演じたふたり - Kristen Wiig & Annie Mumolo。 プロデュースにはこのふたりに加えてAdam McKay & Will Ferrell - Gloria Sanchez Productions - この連中が入っているのであれば無条件の最前列でなにがなんでも見るしかない、そういうやつ。

中西部の田舎にStar (Kristen Wiig)とBarb (Annie Mumolo)のふたりが幼馴染の仲良しのままそのまま大きくなっていて、定期のお茶会でも仲間(みんな程よく壊れている)からは散々の鼻つまみなのだが、まったく気にしていない - “Step Brothers” (2008) みたいに超然としている。このふたりが年金を使って生まれてはじめて一緒に遠出しよう! ってフロリダのリゾート - Vista Del Marに向かうべくうきうきとパッキングを始める。これは彼女たちにとっての夢と愛と希望に満ち満ちた歌と踊りとパラダイス満載の大冒険になるはずだった..

もういっこは、大きな木の根っこの下に秘密基地があって、そこで世界を壊滅させることができる遺伝子組み換え蚊を育てていて、真っ白な顔の悪の首領Sharon Gordon Fisherman (Kristen Wiig二役)とあと2〜3名と、彼女の愛人の凄腕エージェントEdgar (Jamie Dornan)がいて、でも彼はVista Del MarでStarと恋におちて、それに嫉妬したSharonが怒り狂って.. (こうしてスパイ活劇の要素も加わる)。こういう悪の組織に勝手に売られた喧嘩とか、それでふたりの友情が試されたりとか、あとはBusby Berkeleyふうのミュージカルダンスシーンまである。オールドファンが見たら激怒しそうなやつ。 あと、海があるので、海亀の精みたいのとかMorgan FreemondていうMorgan Freemanの口調で人生を語るカニとか、ディズニーの動物アニメみたいなところもある。

こういうのの筋書きは書けば書くほどおもしろさを削いでしまうので虚しいのだが、とにかく真面目で説得力のある会話や意味のあるアクションをしている画面なんてひとつもなくて、すべてがどこに向かうのかわからない小ネタの小爆発と畳み重ね(への熱中)に終始してて、その全体にはなんの意味も重みもないの。画面はただただ個別のギャグの意味のなさを認識させるために転換したり推移していく。なのでへらへら笑っているうちに、自分がなんで笑っているのかわからなくなってきて、全体としてあまりにくだんないのでそれを確かめる気にもならない。

旅にも買い物にもいけない映画館も美術館も本屋も閉まっている人とも会ってはいけない、でも働けリモートだオンランだお片付けだ成果をだせこれが新しいノーマルだなんだ - みんなが再定義 - 言い訳の言い訳みたいなのでぐるぐるの簀巻きにしてやりたくないことぜんぶにうっとおしい意味をおっ被せてなんとか納得しようとしている、自分も他人も死なないようにするためだけに生きている今日この頃、ひたすらどうでもいいことばかりやって迷惑と破壊の限りを尽くしていくふたりの大活躍がとっても眩しい。彼らはそんなこと意図していないし、こういう見方は正しくないに決まっているのだが、なんか見ていてじーんてうっとりする。

Kristen Wiigって、なにかを背負ったようなシリアスなのもいいけど、こういうおちゃらけたやつはアニメのが多くなっていたけど、やっぱりこういうけらけら笑いながら高速で回転していくようなのが一番だよねえ、って改めて思った。”Ghostbusters” (2016)ですらまだまだなの。彼女はあんなもんじゃないの。

それにしても”Bridesmaids”からすでに10年、というのが衝撃すぎる。

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