12.24.2020

[film] The Prom (2020)

19日、土曜日の晩、NetFlixで見ました。

“Glee”のRyan Murphyによる大スターがいっぱい出てくるミュージカル・コメディで、元は2018年にブロードウェイでミュージカルとして上演されたもの。

インディアナの高校で、Emma (Jo Ellen Pellman)が自分のガールフレンドをプロムに連れていきたい、と言ったら、PTAのMrs. Greene (Kerry Washington)がそれは受け入れられないから今年のプロムはキャンセルすることになる、と表明してざわざわする。

ブロードウェイでは、新作ミュージカル”Eleanor!” - Eleanor Rooseveltの一代記 - のプレミアがあって、主演のふたりDee Dee Allen (Meryl Streep)とBarry Glickman (James Corden)はナルシスティックにきらきらを振りまきつつレビューを待って、そこに同様に過去のきらきらを背負ったAngie Dickinson (Nicole Kidman)が加わるのだが、出てきたレビューはボロカスだったのでがーん、て突き落とされて、この鍋底からなんとか這いあがるには、ってそこにいたジュリアード出のバーテンTrent (Andrew Rannells)がSNSで見つけてきたEmmaの話を持ってくる。我々が彼女をCheer upしてプロムを成功させることができればみんな幸せになれる! と。

こうして救世主気取りで現地に乗りこんだ4人と、そんなのは屁とも思っていない保守地盤のPTA – といってもMrs. Greeneほぼひとり - との戦い、PTA勢力とEmmaに味方するミュージカルおたくの校長のTom (Keegan-Michael Key)のいざこざ、なによりもEmmaが思いを寄せるAlyssa (Ariana DeBose) – よりによってMrs. Greeneの娘 – との恋の行方と周囲の生徒たち、そしてカミングアウトを巡るそれぞれの家族の反応あれこれ、ものすごくいろんな関係の線が錯綜して慌しいのだが、そうしているうちにEmma抜きのプロムがEmmaに知らされないままに開催されてひどいよみんな、って…

プロムってアメリカの学園文化に卒業式と同じように組み込まれた通過儀礼 – 家族を巻きこんだ一世一代のイベントで、ものすごく重要で大切な揺るぎないなにかなのだということ、同様にミュージカルのある場面やそこで流れる曲やそれを歌うスターが、人の一生を左右するくらいの重みをもつものなのだということ、こういうのがアメリカの人達にとってどれくらい切実なものなのかがわからないと高校生の恋愛に落ち目のミュージカルスターが茶々を入れているだけ – なんでこの程度の恋愛模様にみんなでわーわー大騒ぎしてるの? - のように見えてしまうのかもしれない。

親にわかってもらうことの大切さ、わかってもらえないことの悲しみ、それを他人の売名のために利用されることの辛さ、などなどが渦を巻いてアップダウンを繰り返しつつもコメディなので他に落ちようがないところに落ちてはまって、そのこと自体にはなんの問題もないと思うのだが、その経路のところどころに立っているのがすべて母親、というのは少しだけ気になった。かろうじて父親的な動きをするのは校長先生くらいで、他はすべて母親が許して認めれば円満に向かうって、どういうことなのかしら?  (ゲイである)登場人物たちの現在の or 過去から引き摺ってきた傷や痛みを癒せるのは母親だけなのだろうか?

なので例えば、このお話しをJohn Hughesが手掛けたらどんな流れになったかしら? とか。 父親が認めざるを得ないところ、手の負えない、収集がつかなくなるパニックになるところまで延々引っ張っていったのではないか、そっちの方がおもしろくなったのではないか、とか。

大人(たち)が高校に乗りこんでいって失われた青春を取り戻す身勝手な話というと、自分にとっては”Never Been Kissed” (1999)が不動のベストとしてずっとあって、あれと比べてしまうとやっぱりこれはよくもわるくもミュージカルなのかなあ。 プロムを中心とした愛と青春の学園ものとしてではなく、自分たちの名声のために高校生を餌食にするバックステージものの方に寄せたほうがよかったのではないかしら。 

もういっこ、大人の身勝手なプロム粉砕ものとしては”Blockers” (2018)があって、これもとってもおもしろいやつなのだが、レズの件に関しては既に当然のように配慮されていたりするの。

Meryl StreepもJames Cordenもそこそこうまいので外してはいない(ひとつあげるとしたら、”Eleanor!”っぽい何かがあっても)のだが、やはりNicole Kidmanの輝きがとんでもない - これであなた、なんでスターになれないの? って思うのだが、既にとっくにスターだし…

あと、James CordenのママがTracey Ullmanってちょっとひどくないか、と思ったけど、彼女が19歳のときに産んだ子なのか..


何百回でもいうけど、ちーっともクリスマスのかんじがしない。なにをしたら、なにを見たら、なにがあったらクリスマスだ! って言えるのかを考えるよい機会だと思う。 けどな、年寄りにはそんなことをしている余裕はないんだよ。

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